お久し振りのまともな更新です。
前回の更新、怖くていつか見ておりません(^▽^;)
先生のイラスト萌えしてちょっと書いてみましたが、
いかがでしょうか?


「触れて宜しいですか?」

 今日は華々しい舞踏会が催されていた。
 だがその内容は仮面や変装をしてくることと、招待客には通知されていた。
 音楽が楽隊によって演奏される中、多くの女性が注目するのは軍服の仮装をする凛々しい男性。黒く長めの前髪を後ろに撫で付けて帽子を被り、その目が誰かを捜していた。


「またいつもよりも素敵ですこと」


 溜息と共に添えられる言葉は当人には聞こえなくとも、周り中が同じことを思っていただろう。
 そして捜しているのが誰かも、皆が知っていた。


「見つけたよ。俺のお姫様」


 その言葉と笑みは、「ほらまた…」と誰もが声を潜めて『お姫様』と呼ばれた女性と共に注目されていた。


「…こんばんは」


 その顔には顔半分、目元を隠すマスクが付けられていたが、そんな仮面などで愛しい女性を見逃すはずはないと、声をかけた。
 女性は笑みを浮かべる男性を少しだけ見て視線を反らせた。
 嫌いではない。でも素直に好きだと言えない気持ちが、天の邪鬼な彼女の視線を男性から外させた。だが見えていない訳ではなく、今夜のその軍服姿も様になって、よりカッコよく見えてしまうのが悔しかった。


 これでは自分の方がより彼を好きになってしまいそうで…。


「こんばんは、俺のお姫様。でもその素敵な顔を半分隠してしまうマスクは外してくれませんか? そして出来るなら、君の額に触れてもいい?」


 それはテノールの甘い声……。
 強請るようで、少し強引にも聞こえて、その瞳も女性の目を離そうとしない。


 女性がそっとマスクを外していくと、男は許可を貰ったとばかりに女性の額にキスをした。
 男は被っていた帽子を取りながらそっと目を閉じて唇が額に触れる…。


 女性は近付いてくる男の顔がアップになるだけで頬を染め、触れた時には固まって逃げられなかった。
 少しだけ俯いて、真っ直ぐな視線から逃げるだけ。
 そのまま男は女性の掌にもキスをした。


「人前ではおいやでしょうから、二人きりの時は唇に…」


 これ以上ないほどに女性は真っ赤になると、周りは「やれやれ、またいつもの…」と呆れた溜息と、男性に憧れる女性たちは悲しげな溜息をもらして舞踏会は続いていった。


 その後の二人がどうなったかは、皆様のご想像に…。

 

            【FIN】

 

仲村先生のイラストメインに釣られまして買った「ザ花とゆめ」ですが、「ある詩人のキスの意味から」という素敵なお話がありまして、二つを絡めたショートを書いてみました。
……しかしながら、読みながら思ったのが「この意味を絡めてお話が出来たら面白そう」という、我ながら普通にマンガを読みなさい!と思ったのでした(^^;)
(暫く書いていなかったので、ある意味リハビリになったかも?)


あと、ギリギリになってしまいましたが、イベント参加について、
新刊などもう少し詳しいお知らせをアップしたいと思っています。
早ければ今日か、出来れば明日ぐらいには…ってホントギリギリですみません。


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