認知症ケアの世界的権威であるフランス人のイヴ・ジネスト氏が提唱した「ユマニチュード」という認知症ケアの手法をご存知でしょうか?


ユマニチュードの手法は単純です。


「見る」「触れる」「話す」「立つ」という4つを柱とした手法です。


①見る
上から目線ではなく、相手の目線に合わせて、もしくは相手の目線よりも少し下から見つめる

②触れる
優しく包みこむように相手の手や肩に触れる

③話す
聞き取りやすいトーンでゆっくりと笑顔で話しかける

④立つ
1日最低20分は立位でケアを行う


最新の研究によるとアルツハイマー型認知症でもレビー小体型認知症でも脳血管性認知症でも、認知症の共通点として脳において記憶や学習能力を司る海馬の機能が低下する一方、好き・嫌いなどの感情を司る扁桃体はむしろ鋭敏になることがわかっています。


つまり、認知症高齢者が目の前にいる人を判断する材料は自分にとって敵なのか味方なのか、もっと単純に言えば好きか嫌いかの2つに1つということです。


自分にとって敵である、嫌いな人であると判断をすると暴言や介護拒否といったBPSDが顕著に現れます。


逆に、自分にとって味方である、好きな人であると判断をすると、驚くほど笑顔になったり穏やかになります。


ユマニチュードはまさに認知症高齢者に「私はあなたの味方ですよ」という暗黙のメッセージを送ることにより認知症高齢者とのラ・ポール(心地よい信頼関係)を築くための究極の手法だと思います。


実際に自分自身、現場でこのユマニチュードの手法を取り入れてから利用者さんとの関係が劇的に変わりました。


今も、そしてこれからもユマニチュードの手法を基本としたケアを心がけていきたいと思います。


現場で利用者さんとの関係に悩んでいる方、利用者さんになかなか受け入れてもらえず悩んでいる方はぜひユマニチュードの手法を普段のケアに取り入れてみて下さい。