【要約】

整形外科で治療を受けても痛みが治らない人が大勢いる。
慢性痛で悩んでいる人は、約2300万人もいるといわれている。
現在の整形外科は筋骨格系に異常があるとする「構造異常モデル」を基本としている。

慢性痛のしくみは、ケガをすると交感神経が緊張し、血管が収縮する。血管が収縮することで筋肉に十分な酸素が運ばれなくなり、筋肉が酸欠状態になるとブラジキニンという発痛物質が放出される。ブラジキニンが知覚神経の先端にあるポリモーダル侵害受容器という痛みセンサーにくっつくことで、痛みの電気信号が発生する。その信号が脳に伝わって痛みが感知する。
痛みが長く続くと、普段なら痛みと感じない刺激も感じるようになり、痛覚過敏になる。さらに、知覚神経の先端が体表に伸びて、受容体の数も増えてより敏感になる。
そして脊髄にくりかえし痛みの刺激が入ると、脊髄の神経細胞の興奮性が増して、痛みが燃え広がってしまう。
脳に向かって長期間痛みの信号が送られると一種の記憶として信号が神経回路に残り、痛みの原因がなくなったあとも痛み信号を送り続けることがある。つまり、脳の痛みの回路が誤作動を引き起こす。

慢性痛の原因は筋肉のけいれんでつって縮んでしまったり、ひどいこりがある状態によって痛みが生じている「筋痛症」である。
運動などで筋肉に硬いしこり(筋硬結)ができて全体のバランスが崩れる。筋硬結とストレスなどが脳を誤作動させることで慢性痛を作り出している。

筋硬結があって押すと痛みが広がる場所がトリガーポイントと呼ばれる場所である。トリガーポイントができたことで起こる痛みが筋筋膜性疼痛症候群(MPS)である。トリガーポイントブロックで筋肉をゆるめることが慢性痛の改善には必要である。麻酔剤で筋肉のこわばりをゆるめることと痛みの電気信号がつくられる場所をマスクする。
また、心理療法を通じて脳の誤作動を修復する。

 

【感想】

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