あれから約1週間が経った。
私は窓の外の明るい光を、呆然と眺めていた。
時計の針はもう、10:00を指している。
11:00になったらカウンセラーの先生が来るけど、まだ1時間位ある。
暇だなぁ……
すると突然、ドアがノックされた。
まだ先生がくる時間じゃないし、
誰だろう……
「どうぞ。」と言うと、ゆっくりドアが開いた。
そこにいたのは、車椅子に乗っている和だった。
「かず!!来てくれたの?」
「おう!」
そう元気に答えた和は、ゆっくりと私の所まで車椅子を押してきた。
「体、大丈夫なの?」
「うん。聞いてくれよ!
俺一人で立てるようになったんだよ!」
「うそ!ほんとに!?」
嬉しそうにニコニコする和。
良かったぁ……
リハビリ、上手くいってるんだね。
そう安心した私の頭に、あの日の声がフラッシュバックした。
──“お前のせいだ”──
……そうだよ。
私のせいなの。
ごめんなさい……。
「……ごめんね、和。」
無意識に口から出た言葉。
でもこれが、私の和に対する思いの全てだった。
和は私を真っ直ぐ見つめた。
その瞳はどこか悲しそうだった。
「なんでかおりが謝るんだよ。かおりのせいじゃないだろ?」
「……私のせいなの。……私が……私が……」
その瞬間、私の体が温かいものに包まれた。
大好きな人の匂い。
「……かず……?」
「……ごめんな、心配させて。怖かったよな……。
大丈夫。かおりのせいじゃないよ。
むしろ俺は、おまえに助けてもらったんだ。
手術してるとき、かおりがずっと俺のこと待っててくれたから。
力をくれたから。
俺は今ここにいるんだよ?」
耳元から聞こえる大好きな人の優しい声。
涙が溢れ出した。
「……かおりのおかげだよ。ありがとう。
大好きだよ。」
嬉しくて、嬉しくて、
涙が止まる気配は無かった。
“ありがとう。”
“大好きだよ。”
和の言葉のすべてが温かかった。
凍りついた心が溶けていくみたい。
私の頬を濡らす涙を、和がそっと拭う。
「俺がずっとおまえのそばにいるから。」
大丈夫。
私はまた、
前を向いて歩き出せる。