年を取るごとに炎症が長引いたり、ワクチンが効きにくくなったりするのは、免疫細胞の一部が「悪玉細胞」に変化し増殖して引き起こされることを、京都大医学研究科の湊長博教授(免疫学)らの研究グループが突き止めた。7日付の米国科学アカデミー紀要に発表した。

 免疫機能の老化は、若い間だけ機能する胸腺から供給され、病原体への抗体を作る「Tリンパ球」(T細胞)の劣化などが原因とされてきたが、よく分かっていなかった。今回の成果は、高齢者の病気予防や、免疫療法の効率化などにつながりそうだ。

 Tリンパ球は病原体に反応するごとに、その情報を長い間とどめる「記憶T細胞」に変化していく。

 湊教授らは、マウスで年齢ごとに状況を追跡。人間では中年以降にあたる生後12カ月前後から、記憶T細胞の2、3割に、何らかの原因で特殊な遺伝子が働き、免疫面の機能を失う一方、「オステオポンチン」という炎症物質を大量に出す未知の悪玉細胞に変化することを発見した。

 老齢期の生後20カ月になると6割に達し、免疫機能の低下につながった。

 湊教授は「悪くなった細胞だけを除くことができれば、免疫機能の若返りができる」と話している。


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