こんにちは、345です。

 

今回は、久しぶりに不定期連載の【四季報の歩き方】です。

 

 

四季報で銘柄を探す際に、個人的にチェックしていく観点を順番に並べるとこんな感じになりました。

 

  1. 成長している(売上高←事業規模をみるため、売上高伸び率)

  2. 高い顧客価値、差別化、独自性がある(営業利益率、特色、連結事業、業務内容、業績記事)

  3. 業界のポジションと競合(業種内時価総額順位、比較企業)

  4. 池に魚が泳いでいる(業界・業種・中長期トレンド)

  5. 財務が安定している(資本比率、有利子負債額、現金同等物)

  6. (本業で)稼ぐちからがある(キャッシュフロー、ROE)

  7. 業績・財務・キャッシュフローが毎年安定している(売上高推移、純利益推移、キャッシュフロー推移)

  8. 配当額は適当である(配当性向、配当額の推移)

  9. 株価が適切である(株価チャート、PER、PBR)

  10. 魅力的な株主優待がある

  11. その他 株主、連結企業

 
 
これまで売上高・利益率や財務状況という側面から企業の価値をどう判断するのかお話してきました。
 
今回は、
 
6. (本業で)稼ぐちからがある
 
についてお話します。
 

稼ぐ力を見る指標として私がみているのは売上高、営業利益、純利益といった損益計算書にある数値なのですが、
実際のお金の出入りはこれだけだとよく分かりません。
そこで、これら数値の裏付けとして見るべきものとしてキャッシュフロー(特に営業キャッシュフロー)の値が参考になります。
アナリストや会計士などのプロはごまかしが難しいキャッシュフローをまず見るとも言われています。
 
 
四季報では以下の赤枠の部分になりますね。
 
キャッシュフローには以下の3つの項目があります。
 
営業キャッシュフロー
本業でどれだけキャッシュを稼ぎ出したかを示しています。
健全な会社であれば、ここは毎年プラスになりますし、成長している企業であればそれに応じて伸びているはず。
 
投資キャッシュフロー
将来の事業維持・拡大ための設備やM&A、あとは投資有価証券への投資額を示しています。
この数字は投資を続けている限りマイナスで問題ありません。
投資先は自社の設備に向けてなのか、M&Aなのかという投資の質を気にしつつ見てみましょう。
逆にプラスになっている場合には、なぜプラスになっているのか少し気にしてみたほうがいいかもしれません。
出資や貸付による投資が戦略的に回収した結果のプラスなのか、資金繰りが怪しくなって慌てて資産を売らなければいけない状況が発生しているのか、というあたりですね。
 
財務キャッシュフロー
これは要はお金の調達状況です。
ここがプラスなのかマイナスなのかは、企業のステージによって意味合いが変わってきます。
まだ企業が立ち上がったばかりで営業キャッシュフローがしっかりと出ていないフェーズでは、軍資金を借り入れていかないと体力が持たないので、プラスで問題ありません。もしくは既存企業が新たな成長を目指している場合(どこかに大きな工場を建設するなど)にも一時的に大きなプラスになる場合があります。
一方、安定期のフェーズであれば、配当を出したり借入金を返済していく時期になりますので、マイナスとなるのが理想です。
 
ということで、この営業・投資・財務の3つのキャッシュフローの流れを10年くらいのスパンでみれば、その企業の大まかなフェーズ、本業の状況というのが理解できます。
安定した企業のお金の流れとしては、営業キャッシュフローでプラスになったお金の範囲で投資と財務(の返済)に回すというのが理想です。
つまりこんな感じですね。
営業CF:プラス
投資CF:マイナス
財務CF:マイナス
 
で、この記事のメインである、本業で稼ぐ力を見るという点においては、
営業キャッシュフローがプラスで推移していること
その値のブレが大きくない
売上高や営業利益の成長率とキャッシュフローの成長率に大きな乖離がないこと
をみていくといいのではないかと思います。
同じような事業を継続しているとして、毎年営業キャッシュフローの数字がプラスとマイナスをいったりきたりして大きく変化していたり、前年度比の営業利益がすごく伸びているのに営業キャッシュフローがほとんど伸びていない場合には、何か損益計算書の数字をこねくり回している可能性もあります。
 
 

まとめ

キャッシュフローからお金の流れを把握できる。営業キャッシュフローをある程度のスパンでみて、本業でしっかりとお金を生み出せていることを確認する。
損益計算書とキャッシュフロー計算書で違和感がないかをみてみること。