私には【お姉ちゃん】がいます。
私自身は3人姉妹の長女ですが、【お姉ちゃん】は生まれたときから一緒に住んでいた叔母です。

私が生まれたとき高校生だった叔母とは、叔母が結婚するまで一緒に暮らしてきました。
礼儀作法に厳しくて、漫画が好きな【お姉ちゃん】、私は【お姉ちゃん】が大好きで、結婚して家を出ていってしまう時は悲しかったです。

そんな【お姉ちゃん】が結婚した旦那様は私の父の1つ年下でしたが、【お姉ちゃん】の旦那さんだからと、【お兄ちゃん】と呼ぶようになりました。

【お兄ちゃん】は顔が怖いと言われる父と違い、優しい顔立ちでいつもにこにこ笑っている人でした。
実際、【お兄ちゃん】は優しくて、まだ子どもだった私たち姉妹を【お姉ちゃん】と一緒に遊びに連れて行ってくれたり、遊んでくれたり。

【お姉ちゃん】と【お兄ちゃん】に赤ちゃんが生まれると、年の離れた妹のようで可愛くて可愛くて、会えば私たち姉妹は従妹たちから離れようとせずずーっとくっついていく。

【お姉ちゃん】も【お兄ちゃん】もそしてその子どもたちである従妹たちも、私は大好きです。

お正月、お盆は実家に集まって、【お姉ちゃん】一家はいつも泊まるので夜遅くまで遊んだりして。

私たち夫婦の結婚式にも出てもらったし、娘が生まれたときは従妹がすごく可愛がってくれたり。

そんな関係がいつまでも続くと思っていました。







そして、たまたま私が実家を訪ねた日。

実家の電話が鳴りました。

一番近くにいた私が電話を取ると、【お姉ちゃん】の声。泣いているような、元気のない声でした。

【お姉ちゃん】が母に変わってほしいというので、変わると電話口に立った母はすぐに泣き崩れました。


【お兄ちゃん】が亡くなったという知らせでした。



【お兄ちゃん】は数年前に手術して治ったと思っていた癌が再発していました。

それでも、【お姉ちゃん】たち家族はみんな前向きで諦めていませんでした。

私たちもまさか、こんなに突然別れが来るなんて思いもしませんでした。



その場にいた人間がみんな言葉を失いました。

何も知らない娘と甥っ子だけが無邪気に笑っていました。




あまりにも早い【お兄ちゃん】との別れ。

【お姉ちゃん】と従妹たちのことを考えるだけで涙が止まりませんでした。

神様なんて、いないんだな、と思います。

優しくて、いつも笑顔の【お兄ちゃん】をこんなに早く連れて行ってしまった。

悪いことをしてのうのうと生きている人間はごまんといるのに。

コロナのせいで、最後のお別れにも行けません。

ただ、この地から冥福を祈ることしかできません。


どうか【お兄ちゃん】が安らかに眠れますように。


どうか残された【お姉ちゃん】たちがこれ以上苦しむことがありませんように。


どうか、どうか。