色んな仕事が終わりつつある。

完遂したものもあれば、急に消えたり、こちらから断ったり、今後付き合いをやめようと思うものもあって、なんとなく喫茶室ルノアール。コーヒーにトースト。


僕は去る者は追わないし、コーヒーに砂糖は入れない。


だけどトーストに、使わなかったその砂糖をかけて甘くして食べるのが好きだし、

去りゆく何かが気持ちよく去っていくのが好きだ。



感性を共有でき、一緒に夢を描いていた気がしていても、いつのまにか人は変わっていくもので、自分のもとから去っていってしまったような苦さを感じることがある。

同時に、自分も誰かから去っているのでもあることを思う。


出会ったり別れたりしながら、修行して人生を歩んでゆくことなど、昔から漫画で知っているけど、最近は強く実感する。


何かにすがりつくのは性分に合っていないので、僕は誰に対しても同じ感じで接する。

できるだけフラットにいたい。だけど世の中は浮き沈みあり盛者必衰の理あり為替介入あり、

苦さと甘さでできてるんだけど、不思議とね、

この二つの相性は良いのだ。

この寄せては返す波を眺めるのではなく、サーフィンするべきなのだ。



人が気持ちよく去っていく背中の分、こちらに残る寂しさは大きい。

そして寂しさが大きい分、また頑張れる気がする。


見送る側と見送られる側では、見送る側の方が辛いもので、

見送られる側は、何かの目的に向かって出発するけれど、

いってらっしゃいや頑張ってくださいの言葉を授けたこちら側は、また変わらぬ所に戻り、去った何かがいたはずのスペースに空虚さを見つけたりする。


自分ばかり変わらず、相手ばかり遠くに行ってしまう事に焦ることもある。


けれどこの別れの苦さを通してしか新しくなってもいかないので、僕は去るものを追わない。もう戻ってこなくて良いとさえ思う。


新しく自分もやるぞ、新しい自分になるぞ、と思うと、コーヒーはより苦味深く、お手製シュガートーストがよく似合う。