健康保険の被扶養者について | 国家資格3(社労士、行政書士、社会福祉士)つをもて余している私の社会保障・労働問題考察

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どうもこんにちは。ニコニコ

今回は健康保険の被扶養者についてです。この話題は興味のある方も多いと思います。これも俗に130万円要件と呼ばれています。

パートタイマーの方等は被扶養者という立場を維持するために、この130万円という要件には敏感なのではないでしょうか。

ところで、この被扶養者になる条件は意外と正しく知られていません。

まず基本的事項として、被扶養者になり得る範囲は3等親内の親族であり、被保険者の直系尊属(父母、祖父母等)、配偶者(内縁関係を含む)、子、孫、弟妹以外の親族、内縁関係にある者の父母及び子、右の内縁関係のある者が死亡した場合におけるその者の父母及び子は生計維持関係に加え同居していることが必要です。

この条件は一見複雑ですが、大切なポイントは例えば妻が被扶養者と仮定すると、自らの両親を被扶養者にしたい場合は同居が必要ですが夫の両親だと同居する必要はありません。また、妻と夫の兄姉を被扶養者にする場合も同居が必要です。そして、自らの子の配偶者を被扶養者にする場合も同居しなければなりません。

次に、収入がある者を被扶養者にする場合の要件です。ここが最も重要であり、関心がある事項でしょう。まず、被扶養者となる者と同一世帯にいる場合です。(同一世帯と言っても住民票上の同一世帯である必要はなく、実質的に同一世帯ならば問題ありません)

上記では、原則年収130万円未満(60歳以上及び障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害を持つ者は180万円未満)かつ被保険者の年間収入の2分の1(例え、被保険者の年間収入の半分以上であっても被保険者が家計の中心的役割を果たしているのならば、年間収入を上回らなければ)ならば被扶養者と認定されます。

同一世帯に属していない場合は、その者の年間収入が130万円未満かつ被保険者からの援助による収入額より少ないことが必要です。

ここで、一つのポイントを話します。同居していない両親を被扶養者にする場合、両親の収入は二人の年金(父120万円、母70万円)を併せて190万円とします。二人併せて360万円未満なので、130万円という要件はクリアしていますが、被保険者からの援助による収入額より少ないことという要件も満たさなければいけません。つまり、被保険者は190万円以上の援助を行わなければいけません。結局、夫婦は互いに扶助する義務があることから、第一義的には夫婦にのみで生計を維持していくことが原則であり、年金収入が一定程度ある両親を被扶養者とすることは難しいでしょう。

但し、両親が別居状態であり実態的にも両者は扶助し合っていないのなら、それぞれを別世帯として算定すれば被扶養者として認定される可能性もあります。

このように130万円未満という要件を含め、これらの条件を形式的、機械的に当てはめると時には実態からかけ離れた状態になっていまい、法の目的を没却してしまいます。多くの被扶養者の認定をする以上一定程度の形式的、機械的運用はやむを得ませんが、被扶養者という概念が創設された意義、つまりは事実として被保険者により生計を維持されている者が被扶養者として認定されないという事態は到底是認することはできません。


次回はこの続きとして、保険者による認定基準の違い及び共働き夫婦における認定を書きます。

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