対話形式を使うか迷いましたが、
今回も論文形式で行きます。

この作品や『六畳一間で愛してる』など、
いくつかの作品は『いくつかの答がある』
なので、わたしの考察に関しても、
『そういう考え方もできる』のですが、
他の考えを否定するモノではないです。

今回、ネタバレがかなり強いので、
そういうのが苦手な方は
回れ右をお願いします。


まず、登場人物に関して述べていくと、

【ケンタ】:
(上演台本では『健太』と漢字表記)
クズ男……と、いうか、婚約者として、
話の中に登場した男性です。

美奈が別れても忘れられないほど愛し、
晴美が強引に奪った?
……なんで『こんな男に?』ですが、
彼のキャラ設定を考えた時に、
『問題解決能力が低く、か弱い存在』
と言う人物像が浮かぶと同時に、
この手の人物は男女関係なく、
『異性にモテるし、同性に嫌われる』
と、思い至りました。
彼の『クズ男』っぷりに関しては、
劇中でも語られていますので、
女性版に関して語ると、
「パパ」に擦り寄って甘えまくる。
敢えて極端な例を出しましたが、
母性本能と言うか『守ってあげたい』
そう思わせる立ち居振る舞いは共通です。

『弱さを武器にしている』ので、
異性から見ると従順に感じるので、
愛情を与えたくなるのですが……
要は巣でピーピー泣いてる小鳥のまま、
自分で飛び立てない人達なんです。
……時間が止まったまま、
ずっと小鳥のままでいるのなら、
それはそれで可愛いのですけどね?
同性からは蛇蝎のごとく嫌われやすく、
客観的に見ると異性からも敬遠されがち
なのですが、甘えてくる仕草は、
『放っておけない』人が居るのも事実。

美奈が惚れた理由と、
晴美が手を出した理由は……
後述しますが「全く別の筈」です。
だけど、この手の人物って
「複数の人物を同時に愛せる」
何故かというと……
「自身に自信が無いため数で補う」
あと『依存症』って病名の筈ですが、
いわゆるアル中なんかとは別で、
『他人(の世話)に依存する』
なので、愛情と言うよりは
依存(固執)に近い状態ですが、
周囲からはその区別がつきにくいです。


【美奈】
 登場する中心人物の一人。
元彼に対する愛情が固執レベルなので、
この方も何らかの精神疾患を想定します。
医学用語に自信が無いので……
スラングの『闇落ち』と表現しますが、
『目的のために手段を選ばない』
『邪魔者の存在を強制排除』
に繋がっています。
『闇落ちの瞬間を描写した作品』
って、あまり記憶にないのですが……
かなり発作的な症状が出ています。
『貴方が居なければ私の人生は変わる』
と言う逆信仰と言うか破壊神信仰なのか?
原因を正確に認知している場合は、
この上なく頼もしい状態ですが……
完全に染まると殺人是認なんです。
『邪魔者が自分の場合は自殺願望』
だという点も追記しますので、
ココまで言えば最後の騒動に関しては
説明が付くかと思いますが、
彼女を本気で止めたいのなら、
『その前の兆候』を見逃さずに、
行動に出る前に対処した方が良いです。


【史】
 状況説明や伏線に設定された印象が強い。
突出した個性は無いが、
お化け屋敷運営の構想を語る際に
『客に関する想定が理想論』で、
現実離れしている点を全く理解していない点は
ケンタ・美奈・晴海の現実逃避の暗示であり、
聞き役として常駐することで、
会話中心の状況説明をこなしている印象が強く残る。
 そのため、
基本的には誰に対しても中立的な立場では有るが、
全員揃って霊感ゼロを表現する際に
森川・羽根子とコンビを組んで漫才的に動く?
話題転換などの部分でも重要な役回りがある。
ただ、中盤以降はどうしても
美奈・晴海のバトルに意識が向くため
『良くも悪くも目立たない』事が求められるため、
演者としてはキャラ造りを怠ることができない。


【森川先輩】
『認知誤認の説明要因』としての性質が強く、
個性的な性格を含めて、
この方も目的に沿ってキャラクターが形作られた
という印象が強い。
自称霊媒師でありながら、
霊感ゼロで幽霊を全く認知できていないにも拘らず、
自身の想像だけで
『幽霊が居る様に振舞う事で霊感を周囲に認知させる』
手法が代表的であるが、
羽根子(幽霊)と共演することで、
本人の言動が頓珍漢であることを……
観客の視線で認知可能にしていると同時に、
話がシリアスになり過ぎない様に
風刺や皮肉を利かせる事で
『場の雰囲気をコントロール』し
伏線に対する消臭もこなしている。
物語を強引に進めている場面が何度かあるが、
その点に関しても……
彼女の猪突猛進な性格が違和感を認知させない
劇中の流れに一役買っているため、
メリハリが重要となる役回りであり、
史と同様にキャラクターを確立した上で
場に即した立ち居振る舞いが要求される。


【晴美】
 融通の利かない正義感?
5年くらい前の自分を見てるようだけど、
『手段の為に本来の目的を忘れ』
美奈とは別の意味で本末転倒になる。
基本的に殺人否認だが、
回復できるケガや汚れに対しては、
無頓着と言うか無関心な部分があり、
その事が原因で『自己犠牲の精神』が
他覚症状として顕現しやすい。
その上、行動力もあるため、
猪突猛進型に突き進む性質があり、
しかも動機が『正義感に属する』内容で
他者からの制止がほとんど効かない
精神疾患で表現する場合、
『ブレーキが利かない』と揶揄されるが、
船舶や航空機のように、
『静止が非常に困難』の方が正確で、
制動はあくまでも姿勢制御の手段。
協調性を身に付けていれば問題無いが、
精神疾患に属する場合は、
『人に頼らずに自分でどうにかする』
傾向が非常に強く、
処理能力を超える場合や、
思い込みからの暴走がある場合、
周囲からの介助は逆効果で、
美奈とは別の形で
『手が付けられない』事が有り、
本人の行動力の高さも有って、
『非常に誤解されやすい人物』
でもある。

あと、劇中で確認すべきだったが、
『彼女の左手の指輪の有無』
……前後の状況を冷静に考えると、
ココで指輪をしていない可能性もある。


【羽根子】
(冒頭で『安藤羽根子』と自己紹介あり)
地縛霊。
現実的な話をするのなら、
フィクションでないと成立しない存在。

かなり認知しやすい筈だが、上記の
「3+1人」からは認知されていない。
うち3人は霊感ゼロで確定しているのだが、
最後の晴美に関しては、
霊感に関する描写が全くない。
しかし晴美の場合は、
『毒にも薬にもならない存在は無関心』
なので、霊感の有無は関係ない。
『美奈との会話』に支障が無ければ、
気にも留めていないため、
他覚症状的には霊感ゼロと一緒。
ウザい時には強引に話を進めることで
結果的に黙らせている場面が有るが、
意図的なのか偶然なのかは不明。

初感では前世に関して3通り仮定した。
・全く無関係の事件被害者
・美奈に殺された晴美のタイムスリップ
・自殺した美奈のタイムスリップ

幽霊の時点で既にフィクションなので、
タイムスリップに関しては省略。
しかし、一番最初に消える候補が、
『自殺』と言う線。
衣装が血まみれであることから、
絞首などは考えられず、刺殺系の死因。
さらに『本人の自己紹介』で、
記憶が無いと言いつつも『殺された』
その他いくつかの情報が有ることと、
背中に血痕がベットリあるのは、
『裏設定』指定されていると推測すると、
背後から刺されての死亡で、
晴美だった場合には、
最後のシーンで振り向かず(気づかず)
一思いに飛び込まれているケースになる。
『浮遊霊』なら通り魔も考えられるが、
ワンルームに縛られた地縛霊なら
『その部屋で死んだ』と考えるのが妥当。

そこまで考えると、
『業を犯して死んだ晴美の幽霊』
なので、その場所で再試験をやってると、
そういう解釈の方が、釈然とする。
……
記憶が無いってなると、
どこをどう動けば良いのか判らないから
最後の部分以外は介入しきれない?
それも判るし、極論しちゃうと
『最初から答を出すと面白くない』
と言うか、この設定で
『羽根子の居ない描写』の場合、
臨床心理士や精神科医の資格試験で
記述回答式問題に使えるレベルで、
『美奈と晴美』に関して考察しやすい。

ちなみに『美奈を除外した理由』に、
自殺が考えにくい描写も有るが、
『業を犯した場面はココではない』
具体的にはココに来るよりも前の話?
と考えるべきなので、
美奈が再試験をやる場合は別会場?
というか、業を犯した場面になる筈。
(殺人や自殺は結果のステージ)

ちなみに……
『もう一度チャンスを下さい』
に対しては『じゃぁ最初に戻るか』と、
正解が出るまでエンドレスループ。
そんな仕様だと思う。

結構頑張ったんだけど、
行動を起こすのが遅すぎる。
最後の方で美奈を制止しながら、
彼女に対して言ったセリフ……
一度も口に出したこと無いでしょ?
『箱根』の話のカミングアウトも、
晴美の行動として遅すぎるんだけど。
……
『羽根子が晴美に認知できている場合』
どこでどういう風に声を掛ければ、
状況改善が叶うのか?

害が無いなら無視できる性格で、
しかも半端な説得は効かない特性。
(毒も薬も劇薬が必要)
その相手に対して、どう働きかけるか?

理想論で語るのなら、
『美奈と晴美の二人』を変えたい。
だけど『干渉できるのは晴美一人』で
他の三人からは認知されない。
そういう設問なら……?
晴美に対して、
どこでどういう風に干渉するか?

『晴美の本来の目的は恩返し』
(箱根のくだり参照)で、
『美奈が業を犯して病んでいる』
と言う状況なんです。

美奈の犯した業を具体的に言うと
『クズ男に惚れた』なんですが、
この設定を付け加えると、
劇中の晴美が取った対処策は、
この上なく悪手なんです。
ケンタと別れさせるというのは、
『あくまでも手段の一つ』であって、
その手段の為に『嫌な女になる』は
既に目的を見失っているんです。

で……かなり難易度が高いです。
『恋の病』が相手ですから、
恩返しとはいえ……
美奈からケンタを諦める様な説得か、
ケンタを成長させて一人前にする?
わたしに思いつく対処策は、
この二つしかないのですが、
『中途半端が一番まずい』から、
最初に目的をハッキリさせないと……
晴美が方針決定する前に、
確認したいことが山ほどあるんです。

個人的には『ケンタを諦めても』
他のクズ男に引っかかったら困るので、
覚悟を決めて二人に付き合って、
3人で成長して欲しいとは思います。

どこをどう弄れば良いのかに関しては
色んなパターンがあるかと思います。
なので、ここでは明言しませんが、
各班で『晴美・美奈』を演じた人や、
そのファンの人達がどんな答えを出すか、
このテーマで座談会を開きたいくらいです。

それ言いだすと、
『六畳一間で愛してる』に関しても
色々と語りたい部分は多いですが(笑)
『沙織里さんの死を不可避』にすると、
難易度がかなり高いのですが、
あの話もハッピーエンドを諦めたくない
そんな話なんですよね。


このような話にお付き合いくださり、
誠にありがとうございます。