12月の頭頃に、オープニングをどうするか考えていた時は、もっとストレートなハードロックかヘヴィメタルにする予定だった。
武装少女マキャヴェリズムの世界観も、戦いの部分に主観を置いた構成にして、だいたい練り上げ済みだったし。
でも、出会ってしまったのだ。姉妹物語ゆうきさんから渡された楽曲の中にあった
アマギセーラさんの『アルルーナの歌聲』に
仕事へ向かう電車の中で突然電流が流れたみたいな震えがきた。すぐに僕の中で、オープニングだけではなく、物語全体の構成が組み直された。
オープニングだけで完結するのではなく、物語の世界全体にまで深みを持たせて、語られないモチーフや概念の部分まで作れると思った。
ただ『アルルーナの歌聲』は歌と楽曲が強すぎる。主役が歌になってしまう可能性もある。危険だとも思った。
同時にこうも考え直した。
今回のマキャヴェリズムの役者陣ならば、僕の想像を超えてくれるかもしれない。
アルルーナの歌聲を超えるとか、勝つとか、負けるとか、そういったことではなく。
楽曲と一緒に寄り添って、とんでもないモノが生み出せるかも知れないし、そうしなければいけないのではないか?
なので、役者陣にはそっくりそのまま伝えることにした。
この楽曲でいきたい。でも相当な強さを持つ楽曲だから、それ以上の何かしかを役者が板の上で表現できなければいけないと。役者が板の上に居る意味を失うと。
役者陣は、アルルーナを選択した。
僕は密かに心の中で嬉しくてニヤリとしていた。役者陣が、挑んでくれること、挑戦して乗り越えようとしてくれることに震えがきていた。
ロバートウォーターマン、パディライアン、有賀由樹子が殺陣の経験者だったのも嬉しい誤算だった。
世界観全体の構成や光の剣などに代表される一連の演出は僕だけれど、殺陣の構成部分は彼らに任せた。
もちろん基本的なコンセプトやルールは存在しているが、自由に作って欲しいと。
期待に、それ以上の力で応えてくれる役者陣だと知っていた。
作品への愛しか存在していない空間だった。
素敵な時間だった。