■ 1. 会社が一番言いたがらない言葉、それは「事業承継」

企業は、事業が傾いたり、下請けに限界がきたりすると、
元請けや関連会社に吸収されることがあります。

でもこの時、会社側はなぜか絶対にこう言いたがらないんです。

> 「これは合併ではありません」
「移籍であって承継ではありません」



なぜこんなに“合併じゃないアピール”をするのか?

理由はたったひとつ。




■ 2. 合併・承継を認めると「守るべき労働条件」が決まってしまうから

労働法にはハッキリと書いてあります。

事業承継の場合
 → 労働条件は原則として維持
 → 有給も勤続もそのまま引継ぎ
 → 不利益変更は合理性が必要


つまり企業側にとって、

「事業承継です」と認めることは
= 労働条件を守る義務が発生すること

なんだよね。

だから企業はできるだけこう言いたいわけ。

> 「これはただの移籍」
「希望者だけだから承継じゃない」
「新会社に入社するだけ」



でも、これは完全に“言葉で煙に巻く”やり方。

法律は 形式ではなく実質 で判断します。




■ 3. じゃあ「実質」ってどう判断するの?

専門家が使う基準を、一般向けに優しくすると…

✔ 業務内容

→ 受け継いでる?

✔ 設備(機械・機材)

→ そのまま使われてる?

✔ 顧客や生産ロット

→ 引き継いでる?

✔ 従業員の仕事

→ 継続してそのまま?

これらがYESなら、
形式がどうであれ、それは“事業承継”扱い。

今回のAさんのケースは 全部YES。




■ 4. 「希望制」は実は“企業が一番使う逃げ道”

企業が逃げ道としてよく使うのがコレ。

> 「希望者だけ移籍です」



パッと見、優しそうでしょう?
「選べますよ」と言っているようで。

でも実態は、

元の会社はもう機能しない

行き先は実質C社一択

受けないと仕事がない


これを“自由意思の選択”とは言いません。

労働法では、こういう“選択の余地がない希望制”を
圧力付きの移籍として扱う場合もあるんだよ。




■ 5. 労働者Aがまず押さえておくべき「たった4つのポイント」

Aさんの立場で絶対に知っておいて欲しいことを
4つにまとめるね。




✔① 有給休暇は消えない

→ 消すには法律上の根拠が必要
→ 事業承継なら全部引き継ぎ




✔② 勤続年数はリセットされない

→ 退職金、年休日数に影響
→ “0年スタート”は原則アウト




✔③ 賞与は一律寸志はNG

→ 業績・評価じゃなくて「全員寸志」は合理性なし




✔④ 新会社のルールに一方的に合わせる必要はない

→ 会社が何を言っても
 “承継元の労働条件”は維持されるのが原則


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■ 6. 一番怖いのは「知らないまま受け入れさせられる」こと

企業の困ったところはね…

“労働者は細かい法律なんて知らない”って分かった上で説明してくるところ。

だから、

有給ゼロ

勤続リセット

寸志宣言

C社ルールへの強制


こういう“切り下げ”を、
「普通のことですよ?」みたいな顔で言ってくる。

でも法律では、
全部アウト(or極めて不当)になりうる。




■ 7. このケースが教えてくれること

Aさんのケースは、実務でも試験でもよくある“典型例”。

「形式」に騙されると、人生レベルで損をする。
でも「実質」を知っていれば、自分を守れる。

労働者が知らないまま受け入れてしまうと、
何年分も積み上げた権利を失うことになる。

企業はそれを狙ってくることすらある。