若手心臓外科医は、いきなり人間の心臓を手術するわけにはいかないので、豚の心臓を使ったり、Youcan(ヨウカン)と呼ばれる道具を使ったりして日々練習をします。そして、その熟達度をはかるためにチャレンジャーズライブといった大会が行われたりします。若手心臓外科医がどのように練習するのか興味がある方、もしくはコロナのせいで家で暇でしょうがない方、将来外科医になりたいという方など是非ご覧になって下さい。

冠動脈吻合の教科書 月岡祐介

また、他にも上手な先生方の吻合動画もありますのでこちらも観てみてみて下さい。

冠動脈吻合の教科書

若手心臓外科医(10年目以下)の登竜門的なコンテストがあります。Challenger's live demonstrationと呼ばれるもので、毎年100人くらいの先生が腕を競います。そのうち8名が予選を通過し、本選で優勝を争います。私は2013年に準優勝をさせて頂いたのですが、その縁で、今回1人の若い先生を指導して優勝させようという企画に参加することになりました。

 

冠動脈吻合日本一への挑戦」という企画です

 

5名の若手の先生が動画やツイッターを通じて上達の様子を報告し、成長していく過程を見守るというものです。

 

興味がある方やコロナの影響で家で暇を持て余しているという方は是非見てみて下さい。

 

 

 

日々忙しく、毎日吻合の練習をする時間が取れないという方も多いと思います。私は時間はあるのですがめんどくさがりなので、Youcanの冠動脈だけ1周縫うようにしています。このやり方だと、やろうと思ってからやり終わるまで5分くらいですので、忙しくても毎日続けられる可能性があります。

手を置くところを準備するのがめんどくさいので、手を固定せずにやっていますが、針先を安定させる練習になっていると思います。

https://youtu.be/Z_Ab9037VNU

ニュージーランドにいた時は、月に一回の頻度で、同僚や若い先生達に集まってもらって、手術練習の会を開催していました(ウェットラボといいます)。普段、執刀する機会のない若い先生には喜んでもらえましたし、同僚とも情報交換するいい機会になりました。定期的に開催することで親睦を深めることができ、私が手術をするときにはアシスタントに入ってもらいやすくなりました。その時の風景はこちらです。これから留学しようという先生方に、ウェットラボ開催をお勧めします。

https://www.youtube.com/watch?v=VRhxtY_bXn0

 

 

 

 

一時帰国中は色々なバイトをします。各地に行ってビジネスホテルに泊まるのがすごく好きです。

 

現在は函館に来ています。一週間働きます。海産物が驚くほど美味しいです。


印象的だったのが、ラーメン屋さんにいた旅行者の西洋人の方達が、味噌ラーメンを箸を使いながら、大きい音をたててすすって食べていた事です。


ラーメンをすすれる西洋人を見た事がなかったので嬉しい気持ちになりました。





数か月前に突然消滅した若手心臓外科医の会(JAYCS)の「留学ブログ」が復旧され、閲覧可能となりました。

 

オーストラリアやニュージーランドでの臨床留学(海外で医師として働くこと)の日常や、留学に必要な条件について書いています。役に立つかもしれないものや全く役に立たないものまで合わせて193の記事があります。

 

興味がある方はどうぞご覧になって下さい。https://teamwada.net/old/?cat=6

NZで感染症内科のスペシャリストとしてご活躍中の青柳先生とついにお会いすることができました!

 

おそらくNZで内科系のコンサルタントをされている唯一の日本人の先生です。私がNZにいた時になかなかお会いできなかったのですが、小山先生(ニュージーランドの高校御卒業)の御尽力もあり遂にお会いできました。

 

佐賀県で日本病院総合診療医学会総会があり、青柳先生と小山先生がシンポジストとして御登壇されるということで行って参りました。初の他科の学会参加で興奮してしまいました。

 

学会の後は、小山先生に最高級のウナギを御馳走して頂きつつ、三人でNZオフ会をしました。とても聡明な先生方との会話はとても楽しく、あっという間に時間が過ぎてしまいました。また是非お会いしたいと思いました。

 

左から小山先生、青柳先生、私

 

 

右上が最高級鰻

故郷である熊本県玉名市にある、公立玉名中央病院の総合診療科部長・小山先生にお誘い頂き、熊本大学病院で臨床留学についてお話をさせて頂きました。

 

玉名中央病院も案内して頂き、研修医の皆さんとお話しをする機会も頂きました。

 

研修医教育に力を入れているとのことで、最近5年間で初期研修医の数が1人から13人に激増したようです。皆さん優秀でした。

 

小山先生は優しい誠実な先生でした。研修医の海外での短期研修もオーガナイズされており、今年は研修医の先生方をタイに派遣するそうです。なんと旅費・宿泊費などは病院持ちとのことです!!

 

小山先生自身が高校時代をNZで過ごされたこともあり、研修医の皆さんにも「世界に目を向けて欲しい」という思いをもっていらっしゃいます。

 

次はNZでの研修先もオーガナイズしようとされています。

 

興味のある医学生や研修医の先生は小山先生(kohtao@orange.ocn.ne.jp)に連絡を取ってみるといいかもしれません。僕が初期研修医だったら入局してしまっていたと思います(笑)

 

 

 

 

 

 

私は飛行機の離着陸時の耳抜きが非常に下手くそで、過去の100回以上に及ぶフライトでほぼ毎回頭が痛くなっていました。

 

しかし今回、ついにその解決法を見つけました!!

 

このイヤープレーンという耳栓です。これが、いい具合に耳での気圧を調整してくれて頭痛の症状を大幅に緩和してくれます。

http://www.kokenmpc.co.jp/products/medical_plastics/ent/earplanes/index.html

 

私はもうこれなしには生きていけない体になってしまいました。

 

耳抜きが苦手な方は是非試してください!!世界が変わります。

私が初期研修医時代に大変お世話になった整形外科の岡野先生に寄稿して頂きました。ニューヨークでリサーチフェローをなさっています。これからアメリカのみならず海外に留学をしようという方にとって、とても有益な情報が書かれているので、是非読んでみて下さい!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

皆さま、こんにちは。ニューヨーク在住の岡野といいます。私は心臓外科医ではありません。整形外科で脊椎外科を専門にしています。NZにも7年前に3カ月短期手術研修でいました。それを除けば初期研修終了後、市中病院でずっと10年以上臨床のみをやっていました。その後、縁あって渡米し、現在Hospital for Special Surgeryという整形外科専門病院でClinical Research Fellowというポジションについて2年目になります。

いわゆる研究留学ですが、日本からの留学でよくある基礎研究ではなく、臨床研究のみです。ここでは日本では、まだあまりなじみのないClinical Research Fellowの仕事について紹介したいと思います。

私は複数ある脊椎外科のグループの一つに入って、そこのチームのデータを使って研究を行っています。仕事としては皆さまが学会発表などの際に行う、データ取り、統計解析、執筆です。プロジェクトは各種ありますが、扱うデータの量が膨大なので、臨床の片手間にはできず、完全に研究専任のチームで行っています。脊椎部門だけで20人以上いるAttending Physicianのうち、4人がグループになっており、その内の一人が週1のミーティングで、研究を統轄します。自分のチームには専任のコーディネーターのほか、数名のリサーチフェローや医学生などが所属しています。アメリカ人やヨーロッパからの留学生など様々ですが、多くは若い人たちで、医学部を出てレジデントに応募する前に業績を積みたい人や、一般大学卒業後で医学部入学前(gap yearといいます)の学生などです。統計解析は専任の生物統計学者が行います。

基礎研究と違う臨床研究留学のメリットは、データさえあれば特に専門的なスキルがなくとも比較的短期間で論文を出しやすいという点にあります。分野別臨床医学雑誌ならば一流紙でも年間複数出すことも場合によっては可能と思います。日本よりずっと多くのデータが扱えることも大きなメリットで、最たるものはデータベーススタディです。保険会社、州、学会のデータベースに関するアクセス権を病院が持っていれば、とても簡単に大きなreal world dataを入手できます。アメリカにもお役所仕事的な面倒なプロセスが多少ありますが、日本のDPCのデータを使った研究などよりも、はるかにアクセスは容易だと思います。こういった研究は時間も比較的かからないので、レジデントやクリニカルフェローの課題論文になることが多く、裏を返せば、こういう論文のFirst Authorは必ずしも臨床や研究に造詣が深いわけではありません。データのアクセスは同じ施設内でも優先権があるようで、ここは政治的な要素が大きいようです。

米国発の臨床研究といえばすごそうですが、少なくとも自分の専門分野に関して言えば、データ量と分業以外の点では、いろいろと問題もあります。実際に研究の主体となるのは臨床経験の乏しいフェローたちと、解析をするのは臨床を知らない統計学者、指導医たちは研究に関わる時間がほとんどないというのが実情です。研究開始の段階で、重要な点が抜けていたということが後からわかることもあり、またフェローの書いた草稿を見ると頓珍漢な議論になっていることもまれでなくあります。指導医の方は研修医の先生が初めて書いた論文を想像していただけるとちょうどいいかと思います。どうやらこちらでは優秀さの指標に口頭プレゼン能力が占める割合が日本よりだいぶ大きく、優秀な整形レジデント・フェローたちは皆プレゼンが上手です。その副作用か若いフェローの中には、経験はなくとも自信だけはいっちょ前で、大した仕事はしていなくともオーサーシップも含めた権利を堂々と(いけしゃあしゃあと)主張をする輩もおり、こちらもそれなりの対応を求められます。

ほとんどの日本人にとっては同じ土俵で勝負するより、自分の強みに集中した方が評価につながると思います。もし先生方が臨床研究で留学をされるのであれば、英語がちょっとできることよりも、臨床経験に裏打ちされた専門知識、多変量解析くらいまでの医学統計の知識(日本でのこの手の本の豊富さはすごいです。おススメの本、ご希望あれば紹介します)、あとは対人関係スキルの方が役に立つでしょう。対人関係スキルといっても、いつもHey! How are you? の陽キャラでいろということではなく、どちらかというと日本的組織の中で自然と培われた根回し他の技術です。ちなみに自分もネクラです。

採用にあたっては臨床研究では基本的に経験は不問です。ほとんど場合は指導医の誰かか、過去にいたリサーチフェローの紹介です。正式に求人が出ることは基礎研究のポスドクなどと違いほとんどありません。自分は日本でお世話になった先生を介して紹介していただきました。

もし何のコネもなければどうしたらよいでしょう。(以下個人の感想です。)よく昔留学していた人で、メールするなり電話するなり連絡しまくるんだ的なことをいう益荒男な人がいますが、極めて非効率的だと思います。実際そういう人たちによく話を聞くと、確かにそれはやったかもしれないけど、実際にポストを得たのは人の紹介だったなど、益荒男的行為自体の成功率は低く、他人に勧めるのは自分の認知的不協和を解消するためとだと私は思います。自分の同僚で、コネなしから実際にリサーチフェローになった人達の多くは、段階的なアプローチをとっています。例えば、日本と違いフェロー一人だけで学会に行くことも多く、特に立ちんぼポスターセッションでは、一人でフェローは寂しい思いをしています。そこで質問して会話して連絡先聞いて、もう一回別の学会で会って親しく話しかたりでもすれば、通常「あいつはいいやつだ」ってなります。次に今度近くに行くのでリサーチミーティングとかを見学したいといって、実現すればそこで指導医やコーディネーターとの面通しができます。その人の力が及ぶ範囲で他のお願いでもいいとは思いますが、いきなり手術見学とか、ダイレクトに指導医を紹介しろとかは、ダメです。その場ではSureとか言われるかもしれませんが、めんどくさい度が上がるほど、その後放置の可能性が高いです。もう一つの要素としては、Residencyと同様に研究グループもIMG friendlyなところとそうでないところがあります。可能であれば過去に医局経由でも日本人が留学していたことのあるところを狙いましょう。

こっちでグラントもらっていくから最初は給与なしでもOKとか言えば、採用の可能性は高まると思います。基礎研究で留学している先生などは、業績とスキルがあれば給与を最初から得ることも可能かもしれませんが、当施設の臨床研究フェローでは、有給のポジションはコネ採用か、当初無給から昇格という人がほとんどです。ちなみに米国はビザ申請時に原則完全無給はダメで、渡航先がお金を出せなければ、日本のどこかから一定額以上をもらっているという証明が必要です。裏を取られたという話は聞いたことがなく、皆よきにはからっているようです。

私は手術の見学もさせて頂いています。自分の分野では、手術等の臨床のレベルは日本も同程度だと思います。もちろん新しく勉強になることはたくさんありますが、日本のレベルの方が優れていると思う点もあります。レジデントやフェローがいっぱい執刀させてもらっているかといったら、少なくとも当院の脊椎外科はそうでもなく、一部の卒業間近フェローのおぼつかない手技を見て、こいつらが数か月後は一人で手術するのかと考えると心底恐ろしいと思ったこともありました。私は手術の腕を上げるため、ECFMGも取得し当初Clinical fellowをやる気満々で渡米しましたが、実際に手術を見てみて、すでに卒後10年以上で指導医も取得している身では、こちらで1-2年フェローシップをするのは、正直得るところが少ないと思いました。この点は執刀機会の異なる心臓外科とは異なると思います。当たり前の話ですが、留学の効果は万人共通ではありません。診療科の違いは大きく、同じ診療科の中でも、将来のゴール、subspecialty、留学時までの臨床経験などでも変わってくるでしょう。やはりここは自分の専門分野の留学経験者によく話を聞いて、短期でも見学に来て実際に自分の目で見てみるのが一番と思います。

話はそれましたが、もし私が何かお役に立てることがあれば、いつでも遠慮なく下記アドレスにご連絡ください。

岡野市郎

Research Fellow, Spine Care Service,

Hospital for Special Surgery, New York

Ichiro.okano.e31@gmail.com