冬の波冬の波止場に来て返す

 

花に花ふれぬ二つの句を考へ

 

七月のぴあにっしもの沙こぼれ

 

昼顔の見えるひるすぎぽるとがる

 

枯木見ゆすべて不在として見ゆる

 

白鳥の白き不在の水かげろふ

 

白鳥は来る! 垂直のあんだんて

 

切り株やあるくぎんなんぎんのよる

 

桃青む木の隊商の木ををゆけり

 

一人静ゼノン静止の内に発つ

 

女人柱等身大の春をほつれつ

 

五月このユークリッドの木を起し

 

青葉かの吾をば稲羽のしろうさぎ

 

繭にかくサンスクリット繭にとく

 

零の発見垂れて頭の栗の花

 

望楼のほつれの秋のあべ・まりあ

 

天文や大食の天の鷹を馴らし

 

一満月一韃靼の一楕円

 

雨季来りなむ斧一振りの再会

 

五月、金貨漾ふ帝王切開

 

睡蓮、内出血の独楽と耽り

 

胎児煮つまる花貝そのエトセトラ

 

蜜月ー噫! いらくさの花火ら