夜半翁終焉記天明三年十二月二十四日 病床にあった蕪村は月渓を呼び二句を書きとらせ しばらくしてから「こは初春と題を置くべし」と残した 冬鶯むかし王維が垣根かな うぐいすや何ごそつかす藪の霜 しら梅に明くる夜ばかりとなりにけり 付録 月渓筆の一軸にはこうあるとの事 白むめのあくる夜斗と成りにけり