あるきだす言葉たち から
1994年 沖縄生まれ 銀化・群青同人 俳人協会会員
忘音
海鼠噛む風蝕の日を高く吊り
悴むや苔あをあをと橋のうら
赤松の裂けしが匂ふ鼬の巣
大虚子の寒の見舞の字のそよろ
一月をうちあげられしうつぼかな
月評の火鉢のことをいつまでも
蝋梅のまだ匂ひなき黄なりけり
ジャケッツの胸ぱつぱつと展きたる
霜の声してうすずみの山女の晝
春を待つうすむらさきの羽ぼこり
豆皿に魚の目ん玉春祭
・ 端麗辛口にして 美酒なれど
「安里」と有り 「琉球の太郎」とあれば
やはりここに 琉球の呼吸/リズムを欲しがりたるは
無いものねだりの子守唄か