あるきだす言葉たち から


1997年生まれ  櫂未知子/佐藤郁良に師事   「群青」副編集長
慶応義塾大学俳句研究会所属  第6回星野立子新人賞 第6回俳句四季新人賞



火山


避暑の宿まづは小川を見にゆけり

ひとゆらぎすれば山女の色となる

遠近の水聞きわけて夕涼み

旅先といふかがやきのビールかな

押花のこと忘れさう夏休

蛾の集ふほどの暗さのランプが好き

新涼の卓に流るる木目かな

つとめてのくるぶし多感草の花

八千草は火山の死後を乱れけり

蜩や画帖の頁余しつつ

届かざる距離美しき秋蛍

ゆつくりと桃傷つける夜なりけり