時雨にも露にもあてで寝たる夜をあやしくぬるゝ手枕の袖

今朝の間に今は消ぬらん夢ばかりぬるとみえつる手枕の袖

夢ばかり涙にぬると見つらめど臥しぞわづらう手枕の袖

霧結ぶ道のまにまに朝ぼらけぬれてぞきつる手枕の袖

道芝の露におきゐる人によりわが手枕の袖もかわかず

手枕の袖にも霜はおきてけり今朝うち見れば白妙にして

人知れず心にかけて偲ぶるを忘るとや思ふ手枕の袖

ものいはでやみなましかばかけてだに思ひ出でましや手枕の袖