あるきだす言葉たちから
 
 
 
あかの・よつば  1977年高知県生まれ  現代俳句協会会員
2016年第34回現代俳句新人賞受賞
 
 
 
ぐろーばる
 
 
春昼の終わらないお茶会におり
 
ひらひらと睫毛たいくつ犬ふぐり
 
なだらかに退却春の犬連れて
 
思い出は時に呪いで花に雨
 
いずれ皆絶える菫を愛でいたり
 
人工授精よもぎの向こう側にいる
 
吸いとられた永訣なれや桜貝
 
見の内に永劫巡らせて栄螺
 
かいじゅうの寝息嗅げよと遠足に
 
しおらしく握った種を飛礫とす
 
立つ緑ここに誰も寝てはならぬ
 
ふうせんにしがみついてのぐろーばる