素数/行方克巳孫引きなれど と注を付け置く 芳雄亡き御燈祭のざんざ降り 野を焼いて一升酒を喰らひけり 万緑の一瀑くさび打ちにけり 大鮪のかまを首級のごとく据ゑ まつろはぬものの血濃けれ唐辛子 鰭酒にむせてもとより負けいくさ 粉微塵凍蝶のいま羽搏ちなば 春昼や喀血のごと屑金魚