あるきだす言葉たち から
 
 
 
こん・けい  1964年青森県生れ 「炎環」「豆の木」所属
2013年現代俳句新人賞受賞 合同句集「きざし」(ふらんす堂)
 
 
 
点すひと
 
 
ひまわりの種が残っている秋天
 
寂しくて曼寿沙華もうひとつ咲く              曼寿沙華/まんじゅしゃげ
 
塗りつぶすコスモスにあやふやな箇所
 
露の世の切るたびに錆びついている           錆/さ
 
仲秋の金魚は水の底を混ぜ
 
夕暮れを点すひと来る金木犀               点/とも   金木犀/きんもくせい
 
読み返す手紙どこかで茸生え               茸/きのこ
 
銀杏が降る降る嘘をつきたがる              銀杏/ぎんなん
 
素顔では花野の縁を越えられず
 
草の花消せないように書くことば
 
雨音の終わりと夜の落花生