あるきだす言葉たち/より
 
 
 
曽根 毅   
 
1974年香川県生まれ  LOTUS同人
第4回芝不器男俳句新人賞  第一句集/花修 近刊予定
 
 
 
肖像画
 
 
紫雲英田や日当たりながら汚染水     紫雲英田/げんげだ
 
腰掛けて牡丹に近くなりにけり
 
瀧迅し我の時間と異なれり
 
肖像画青葉の闇に委ねられ
 
繰り返す物の姿や燕子花           燕子花/かきつばた
 
厠から見られていたり冬菫          厠/くりや
 
しずり雪奥の院まで行き着けず
 
家族また歩きだしたる冬の虹
 
囁きはふいに始まり牡丹の芽        囁/ささや
 
蜂が来る母屋と納屋の間から
 
昼行燈我の背丈とほぼ同じ         昼行燈/ひるあんどん
 
困憊や牡丹の白を遣り過ごし        困憊/こんぱい