あるきだす言葉たちから
 
 
 
おおたに・ひろし  1980年福岡県生まれ
「古志」主宰  句集/大旦
 
 
 
 
高千穂
 
 
ゆきゆきてここにゆきつく初日かな
 
国生みの島のごとくに餅ふくる
 
その命千代に八千代に千代呂木かな     千代呂木/ちよろぎ
 
御降りや夢のごとくに昼過ぎて          御降り/おさがり
 
夜神楽や須佐之男の田も氷りつつ
 
須佐之男の竹伐つてきてかつぽ酒
 
燗の酔ひまはればわれも猿田彦
 
寝しづまる牛舎の牛や神楽笛
 
夜神楽の面打ちにして牛を飼ふ
 
ふる雪や樟を香らせ面を打つ            樟/くす
 
火の国は火山灰を払つて煤払           火山灰/よな
 
家普請の余りの檜太箸に              家普請/やぶしん  檜/ひのき
 
面打ちのけふは太箸削りけり
 
踏み歩く畦の氷や猿田彦              畦/あぜ
 
腰に来るふるまひ酒や土竜打つ          土竜/もぐら