夜の虹
揺椅子に舟と揺れあふ夜の霧
篝火の上の梢に蜘蛛の糸
水に泛き奔る水玉冬隣り
宵闇に石蕗は花莖揃えたる
竹林に雪折れの竹華燭の典
土佐の限界集落の一つ
降る雪の西峰といふ処
堵列して幸はありなむ雪の街
鶴を見ず汚るる雪をきのふけふ
白菜を鳴かせて括る安息日
倒木の倒れてのちを月に暈
鴨の浮く水辺に眉を引く女
まほろばに夜の虹顕つ冬山椒
予と言えば三橋敏雄冬の濤
子の空想泡と消えたり焼むすび
なせば成るなどとは寶船の皺
一月の雪のあかるさ正座せむ
雪を被て橋の燈のともる頃 燈/あかり
初淺間男のみぢかき一生とは 一生/ひとよ
左義長の盛りを離れ際とせり