俳家奇人談  巻之下
 
 
 
恋死なばわが塚でなけ子規     加賀      子規/ほととぎす
 
男なき寝覚はこはい蚊帳かな   花咲        寝覚/ねざめ  蚊帳/かちょう
 
その数に入るもはづかし夏の菊  染之助
 
流れなる身に似合いしき花いかだ  長門
 
わが形りを恨みつ風の糸柳      難波の遊女
 
行水の一夜どまりや薄氷        歌川
 
思ふこと摘んでは崩す炭火かな   湖来の遊女
 
われをのせて曲輪をいだせ凧    たま       曲輪/くるわ   凧/いかのぼり
 
初雪やたれが誠もひとつ夜着    薄曇
 
夏痩と人にこたふる泪かな      薫