6月18日朝日新聞夕刊  あるきだす言葉たち
 
1991年 東京生まれ
 
虹が二重にかかっている
 
 
 
 
紙面から虹が図書館までかかる
 
二次元の虹輪郭を滲ませず
 
描かれて横顔平ら月見草
 
現実を虹の彼方に被覆する
 
君の浴衣に質量のない金魚
 
げじげじが落ちてきて面白い君
 
イナズマのかたちにアホ毛夜店の灯
 
不機嫌が浴衣の金魚にもうつる
 
殴られて星見えて暑さも何も
 
蛍らら口をむすんでひらく君
 
蛍追う君のミサイルめく笑顔
 
君・蛍・パースペクティブが崩れる
 
虹を見ていた網膜に映る文字
 
指にこの紙の感触梅雨の暮れ
 
これも虹ここ→○突き破ってよ指で