5月28日朝日新聞夕刊 あるきだす言葉たち
高山れおな
1968年 茨城県生まれ
「豈」所属
句集「ウルトラ」「荒東雑詩」「俳諧曾我」
新池と鬼味噌
新池やかげろふすごき百千鳥
春鶯囀古き地獄の底よりぞ
春幾夜寝落ちの川崎展宏『春』
髑髏より韮粥を吹く風も出て
香深く黄金週間黴殺し
かざ キラー
数数の窓の朝日や衣更へ
はつなつの皿に映りて生き急ぐ
虚空より紫蘇揉み出すは寂しけれ
出歩いてハ―ト撃ち抜かん業平忌
初蝶よこの炎天のかぶき者
荒れ球で打ち取る君や夏深し
身にうくる入日真つ赤や揚羽蝶
陽に涼し張子首振る大官
マンダリン
かく暑き夢の世黒き靴で行く
擂りに擂る灯虫混じりの鬼味噌は