「鮭とば」とは何かご存じだろうか。
こんな感じの、
鮭の干物のことである。
よく北海道の物産展や
お土産屋で見かけるけど、
そんなに安くないし
同じ金額でお刺身食べたい
とか思うタイプだったので、
今まで興味を持たなかった。
それがたまたま商品券で
買い物していて、
気が大きくなった時に
ふと目の前に現れたのが
こいつだった。
ちょうど、今手に持ってるもの
(お酒とお酢)と合わせたら
2000円くらいになる。
商品券を無駄なく使える。
一生に一度くらい
鮭の干物ってやつも
食べてやろうかね!
なんて上から目線で買ってみた。
帰宅後、夕飯作りの支度中に
1本かじってみることにした。
かじりついてから
「鮭とばって
どうやって食べるの」
と思った。
なぜなら
めっっちゃくちゃ
固かったからだ。
何これ。
てっきりさきいかのちょっと
分厚いバージョンかと
思っていたらまるで違う。
干物ってか
魚と思えない。
くっそ固い。
噛めない。
しばらくしゃぶれば
柔らかくなるかと思ったけど、
ご飯の支度をする数十分の間では
とてもそうなりそうにない。
マジで固い。固すぎる。
皮に至っては、
あ、これって食べれないやつ?
と思うくらい固くて
嚙み切れる気配がない。
味は美味しいけど
一生噛み切れる気がしない。
どうすりゃ良いんだ。
ここでもっと頑張って
噛むことができるのは20代までだ。
今やったら口内が破滅する。
命懸けで鮭とばを食べるってこと?
それは無理だ。
きっと、こうじゃない
別の食べ方があるはずだ。
だってどう見ても
20代が嬉々として
買うような代物じゃない
もん、鮭とば。
いい歳のダンディおじや
エレガントな奥様が
お酒のつまみに
買いそうなものだもの。
そうだとしたら、
たいていの固いものは
苦手なはずだ。
どうか柔らかくする
方法がありますように。
なんならくたくたに煮込んで
スープにしようか。
と、祈るような気持ちで
Google検索をした。
あった。
柔らかく食べる方法。
少し焼く
んだってさ。
焼きすぎると味が悪くなる
って買いてあるけど、
とにかく今より柔らかくさえ
なってくれれば何でもいい。
祈る気持ちを継続しながら
噛みかけの鮭とばを
魚焼きグリルにぶっこんだ。
1分少々たったくらいだろうか。
鮮やかにツヤツヤしていた
赤身の部分が、
スモーク鮭とばのごとく
くすんだ色に落ち着いた。
よし、この辺で出してみよう。
皮の方はというと、
見た目何も変わっていない。
が、食べた瞬間びっくりした。
あの、
人間の力じゃとても噛みきれない
と思われた強靭な皮が、
バリッと噛み切れたのだ。
しかもさっきより香ばしく、
美味しくなって。
マジでか!
わずか1分で?!
皮がこうなら
身はもっと柔らかくなってる
んだろうか。
ワクワクしながら噛んでみる。
固い。
いや待て、さっきと比べたら
全然いける。
ちゃんと人間の食べ物の固さに
収まっている。
ゆっくりしか噛めないのは
変わらないけど、
ちゃんと終わりが見えてくる。
この固さなら。
このままの塩味でも
充分美味しいが、調べたら
レモンや黒胡椒、マヨネーズ
につけても美味しいって。
さすがにマヨネーズは
やりすぎかと思って我慢したが
レモンと黒胡椒を試してみた。
めちゃ見づらいけど右にレモン。
左に黒胡椒。
ちょんちょんと
鮭とばの先をつけてみる。
まずはレモン。
…合う!!
初めの一瞬は
酸っぱさがガンとくるが
次の一瞬で鮭に馴染む。
塩味とレモンのさっぱりさ
が合わさって
美味しい。
続いて黒胡椒。
…これも良い!
酒のアテになると書いたあったけど
ほんとにそんな感じ。
レモンほど主張しないけど、
つけないときより
味に深みが出て美味しい。
ついさっきまで
鮭とばを買ったことを
本気で後悔しかけたが、
最終的に買ってよかった。
おつまみとしては
贅沢な金額だけど、
お酒をたしなみながら
味変しながら食べる
のなら、
とても贅沢なひと時を
もたらしてくれる。
たまにならめっちゃいいね、
鮭とば。
この鮭とばチャレンジに
夢中になりすぎて、
すっかり夕飯を作るのが
遅くなってしまったとさ。








