由美は。西口医師が「さて、行くか」と呟やき


立ちあがったので、慌てて回診者を押しナース


ステーションを出る彼を追った。


廊下を少し歩いたところで


『西口先生は、西淀川の三国中学の卒業ですよ


ね』と声をかける。


西口は立ち止り由美を見つめながら


「どうして知ってるの?」と問いかける。


『1年の時、同じクラスだった東出です』


「東出?」


『西口くんの前の席だった。お互いにクラスの中で


2番目に好きだと言い合った』


由美は口にした言葉に顔を赤らめた。


「あー、思い出したよ、あの東出さん。なつかしいな」


病院では2日後に新入職員歓迎会があり、西口も


出席するようなのでその時に積もる話をしたいと


期待に胸を膨らませた。