①世界の認知症ケアやさまざまな取り組み
今回から2回にわたって世界の他の国ではどんな認知症ケアや取り組みが行われているか
勉強してみたいと思います。
その国特有の取り組みや、その国発祥で世界に広がっているケア法など色々ありました!
私達日本の介護事情と少し違いもあり、
驚きの方法や、取り組みがあるかもしれませんね
まず第1回の今回は
について勉強してみたいと思います。
オランダの「認知症村」ホフヴェイHogewey
NEWSポストセブンより
オランダに全員認知症の村 その居住空間の独特な様子
2016年3月10日
オランダ・ヴェースプ市にある介護施設・ホグウェイは、ちょっと歩いただけでは、ごく普通の村にしか見えない。
しかし、住人は認知症の高齢者だけ。敷地内にあるスーパーなどで働く店員は皆、施設のスタッフだ。
ここには、甲子園球場のグラウンド面積とほぼ同じの1万2000平方メートルに、152人が住んでいる。
入居費用は月額5000ユーロ(約62万円)だが、見守られているという安心感から認知症患者が日常生活を送れるのなら、本人にも家族にもメリットは大きい。
居住スペースに目を移すと、入居者たちは6~7人でひとつの「ユニット」を組んで過ごしている。
入居者の一人ひとりに個室が用意され、各ユニットに共用のリビング、キッチンなどが備わっている。
居住スペースでも、入居者たちはスタッフと一緒に“生活”している感覚だという。
「ユニットでは入居者たちがスタッフと一緒に料理をしたり、洗濯やアイロンがけもしていました。部屋の中でも、できるだけ認知症になる前と変わらない生活を送ってもらうよう腐心していることがうかがえました」
(元日経新聞編集委員で福祉ジャーナリストの浅川澄一氏)
入居者をユニットに分けていく際にも工夫がある。まず入居を希望する認知症高齢者の子供時代の思い出、結婚生活、仕事や趣味、好きな食べ物やスポーツなどを家族や友人などから詳細に聞き取るというのだ。
「その上で、7分類したライフスタイルのうち最もマッチすると思われるコンセプトのユニットに入ってもらうようにしています」(ホグウェイの広報担当者)
その7分類とは、伝統的価値観と生活習慣を重んじる「クラシック」、信仰深い人向けの「カトリック」、文化芸術に関心がある「アート」、富裕層向けの「セレブ」、家庭的な人の「アットホーム」、都会的生活を好む人向けの「シティ」、そしてかつてオランダ領だったインドネシアでの暮らしが長かった人向けの「インドネシア」だという。分類ごとに居住スペースのインテリアが違うなど細部まで工夫がある。
「過去の生活習慣をできるだけ継続することで、認知症の進行を食い止める効果が期待できる。同じライフスタイルを好む人たち同士でいるほうが当然、それまでの生活習慣を続けやすくなります」(浅川氏)
出典: Madeleine Sars
出典: msagd.rlp.de
日本でもしホフヴェイを模範にした施設を建てるとしたら、
都内はとても無理だろうな~。
と、ふと思ってしまいました。
認知症を患っても人間としての尊厳が守られ、今まで通りの生活習慣を続けていけるというのはとても魅力ですよね。
それにしても写真のおばあちゃん、たくさんお買い物しましたね。
隣に移っているのは施設職員さんなのでしょうか、優しく引き止めながら何か話しかけているようにも見えます。
「たくさん買ったわね~」「子供たちが食べ盛りなのよ」なんて会話が聞こえてきそうです。
もちろん、子供たちはもう成人されて食べ盛りではないでしょうけれど。。。
重度の認知症の方々がそれぞれおもいおもいに自由に過ごせる環境がホフヴェイなのでしょうね。
施設もとても素敵です。
日本でもしこれを企画したら・・・和風庭園になるのかな~。
日本ではここまでの規模のグループホームは存在しませんが、
少人数のユニットを作って生活するというのはグループホームに似てるかなと思いました。
続いて、スウェーデンのオムソーリケアについてです。
このケアについての記事を幾つか読んで三宮は目からうろこでした!
ホームヘルプ1日たったの15分でもスウェーデンでは認知症が重症化せず、
認知症の高齢者の45%もの人が一人暮らしを続けられているというのです!
びっくりですよね。
認知症介護の先進国であるスウェーデンは、医療中心のケアから福祉中心のケアに転換したと言います。それによって認知症ケアの中心的な役割は、医師から「アンダーナース」をはじめとする福祉ケアに携わる人々に切り替わり、高齢者の「見守り」と「自立支援」を徹底的に行う流れになりました。
そのアンダーナースが認知症高齢者が重症化しないカギを握っているというのです。
どんな画期的なケアなのでしょう!
、、、見ていきましょう^^
アンダーナース、コリンさんの15分間とは?
所属先のチームでその日に訪問する利用者の特記事項(お昼は家にいない等)を
全員で共有し合います。
利用者宅へ着いたら15分で以下を済ませます。
・薬箱の鍵をあけ、コップに水を入れ、投薬介助
・血流をよくする医療用ストッキングをはかせる
・寝室のベッドメイキング
・キッチンで女性がオープンサンドを作るのを見守る
・やかんに熱湯を沸かす行為は危ないので、変わって行う
・トイレの便器掃除
・目覚まし時計を頼まれた時間にセット、目の前で本人に確認する
・デイサービスのお迎えの時間を本人に確認する
・寒いので「窓を空けないこと」を念押しする
・ゴミ出し
文字にすると結構な量ですが、この間、アンダーナースと利用者は途切れなく会話を続けています。
コリンさんの身体の動きはとても落ち着いていて、気忙しさがありません。
これだけ短時間で効率よく済むのは、アンダーナースの業務から家事援助の“掃除・洗濯”を、2週間に1度程度のサービスパトロールチームの仕事として切り離したこと。そして“調理”を、真空パックの調理食を導入したことで無くしたことも大きな要因です。
切り離すことで、アンダーナースの働きがケアに特化され、丁寧さや気働きが生まれるのです。
日本では、介護も家事援助も両方、ヘルパーの役割に含まれていますね。
すべてのアンダーナースが共通して取り組んでいるのは、「オムソーリ(Omsorg)」と呼ばれるケアです。
オムソーリとは、スウェーデンに古くからあった言葉で、 「悲しみや幸せを分かち合う」という原義です。
なかでも認知症ケアにおける、オムソーリを構成するキーワードは、次のようなものです。
◇ポイントを絞ったニーズケア◇
その人にとっての必要なケアは何か、よく観察し、ポイントを絞る
できることは手伝わず、できないことだけを援助する
「お世話」ではなく「自立支援」、を常に念頭に置く
◇チームプレー◇
いつでも助け合えるように、利用者の状態をチーム全員で把握しておく
◇非マニュアル◇
「クリスマスまで生きたい」という末期患者がいれば、季節外れでもクリスマス飾りをする
◇入念で丁寧なケアをする◇
公的なケアを受け入れてくれない利用者がいれば、時には60回も通って利用にこぎ着ける
◇機転をきかせて、臨機応変に◇
家に入った瞬間、相手の状況をみてその日の優先順位を組み立てる
◇介護者自身が自分の心を静かに保つ◇
常に心を静かに保つ、動作にも気ぜわしさが感じられない
◇豊富な会話、声の力◇
些細なことからも会話を膨らませ、相手からも会話を引き出す
◇ともだちのような親しさと節度◇
フレンドリーに接するが、親しき仲にも礼儀あり、のスタンスは貫く
(出典:認知症オンライン http://linkis.com/ninchisho-online.com/RwEcv)
「悲しみや幸せを分かち合う」というオムソーリケア、たった15分のホームヘルプで認知症の重症化を防げるのは、実際のアンダーナースと呼ばれる方の熟練の接しかたや、認知症の高齢者の方の意識も重要なのではないかなーと勉強していて思いました。
あとは、完全分業制!ここにも隠された成功の秘密があるなと思いました。
家事援助の“掃除・洗濯”は2週間に1度程度のサービスパトロールチームが担当。
調理は“調理”を、真空パックの調理食を導入。
いろんなポイントも大切だと思いますがこの2点こそがオムソーリケア成功カギだと
わたしは睨んでいます。
掃除、洗濯、調理と「認知症高齢者のケア」は同時に出来ない!ってことが読み取れます。
日本での状況と正反対!
日本の介護事情の大半を占める在宅介護ではどうでしょうか。
みなさん、掃除、洗濯、朝食昼食夕食の支度、当たり前にするでしょうし、
ヘルパーさんだって、介護も家事援助も両方しています。
ここに日本との大きな違いがありますね~~。
厚生労働省のデータによれば、日本も認知症高齢者のうち約半数は在宅で何らかの居宅サービスを受けているということですから、割合的には同じくらいなのですよね。
そこから重症化してしまうか、認知症は認知症だけれど重症化しないかの違いということなのです。
その違い大きい大きすぎる!!
みなさまはどのように感じられましたか?
次回はアメリカ発の「バリデーション」とフランス発の「ユマニチュード」とはどんなケア法なのか勉強したいと思います。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!