ヘミョン「そういえば、シンとチェギョンはいつまで韓国にいるの?そろそろベルギーに戻るんでしょ?」


チェギョンは少し困った顔でシンを仰ぎ見る。無理矢理連れ帰られたので、今後の予定など全くわからない。全てはシン次第なのだ。


シン「その事ですが…。国内が落ち着きを取り戻し始めているので、そろそろと思っていました。姉上も戻られた事ですし。一週間後ぐらいを目処にと思っています」

チェギョン「そうなんですか?じゃあ、お土産の用意を始めないと…」

ヘミョン「お土産?大使館の同僚にあげるの?」

チェギョン「はい。後は学生時代の友人達にもです。帰国したのが初めてなので、お土産を渡すのも楽しみで。韓国の方達には食料品をたっぷりです(笑)多分何よりも喜んでもらえるから。スーツケースに詰め込めるだけ詰めて、後の軽くて嵩張るものは宅配便で送るつもりです。もちろんついでに自分の分もなんですけどね。
他国の方達には、組紐(メドゥプ)を渡そうと作ってるんですけど、材料の絹糸が足りないので、買いに行かないといけなくて…」

へミョン「組紐を手作りするの?ストラップやチャームとして売ってるのに、わざわざ?」

チェギョン「はい。市販の物は、玉や刺繍なんかと組み合わせてあって、それはそれで素敵なんですけど、私は組紐だけの繊細な美しさが好きなんです。
今も鞄の目印代わりに、チャームとして付けたり、ポーチや財布のチャック部分に小さめの物を付けたりしてるんですけど、褒めてもらえることが多いんです。
金属で出来ているキーホルダーなんかと違って、傷にならないし、カラフルで可愛いし、色やデザイン次第で、男女問わず使ってもらえると思うんです。
この国の伝統工芸品に興味を持ってもらって、この国をより知っていただき、好きになってくれると嬉しいなと思って…」

へミョン「組紐はともかく、食料品の買い物は私も一緒に行くわ。どんな物を売ってて、どんな物が喜ばれるのか知りたいし。食文化って、本当に国によって違うものね。私は公主なのに、自分の国の食文化を知らないなんて、恥ずかしいでしょ?
ついでに、【宮】に持ち帰って、一緒に買い物に行けないお祖母様達にも見ていただきましょう。それに宅配便で送らなくても、全部政府専用機に乗せればいいじゃない」

皇太后「ほほほ、それは楽しみじゃ。組紐に使う絹糸は、宮中にたくさんあるから、好きに使うがよい。
わらわも手伝うが、そういう細かい作業は皇后が得意にしておるし、喜んで手伝いを買って出るであろうな。ソ尚宮、連絡を」

チェギョン「…あの…そんな…ご迷惑を…」



どんどんと話を進めていくへミョンと皇太后に、チェギョンは反論もできず、思いっきり困った顔でシンに助けを求めるが、笑顔で首を横に振られ、成す術もなかった。


その後しばらく歓談していると、皇后が皇帝と共にやってきた。
チェギョンは軽い気持ちで話したことが大事になってしまい、今更ながらとんでも無いことになったと、いっその事この場から消え去りたい気持ちになっていた。

その時シンは、一緒に買い物に行くための手段をずっと考えていた。