日本を代表するクラシックギタリスト蒔野聡史 (福山雅治) と
フランスの通信社で働くジャーナリスト小峰洋子 (石田ゆり子) の
パリ、ニューヨーク、東京を舞台にしたあまりドロドロしていない
大人のラブストーリーです。
原作本 (同タイトル) も読みましたが、やはりこのおふたりは
役柄に合っていますね。
食事シーンでの突拍子もない蒔野の台詞に驚きますが、
最後までよ~く聞くと言いたいことはわかります。
スランプに陥っていた蒔野は、出会ってすぐに惹かれた洋子に
何かを感じ取り、愛と救いを求めたのかもしれません。
ギターの演奏場面は、ミュージシャンである福山さんだからこそで
リアルな感情が伝わってきます。
蒔野と洋子の恋の行方を左右する三谷早苗 (桜井ユキ) が
ある意味、自分のきもちにいちばん素直なのかも…。
もちろん早苗の行為はふたりにとって許されることではないですが。
現代の便利な伝達ツールが、ふたりの間に誤解を招いてしまい
ますが、もしこれが手紙や電話だったら、すれ違いを防ぐことが
できたかもしれません。(そうしたら小説になりませんけれど…。 )
’すれ違い’といえば、往年の名作’ ケーリー・グラントとデボラ・カーの
『めぐり逢い(1957)』 を彷彿とさせます。
この小説にはモデルがいるとのことですが、山あり谷あり嫉妬ありで
まさしく 「事実は小説よりも奇なり」 ということでしょうか。
パリ、ニューヨークの景観や抒情的なクラシックギターの音色が
ロマンティックな想いや切なさをより高めます。
最後に、こころに残り考えさせられた蒔野の言葉を。
「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。
だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。
変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。
過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないんですか?」
『 マチネの終わりに 』より引用