自己愛性パーソナリティ障害とは

アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル「DSM-5」によると、「自分は特別で重要な存在である」と誇大な感覚を持っていることです。

常に自分の能力を過大評価し、しばしば自慢げに見栄を張っているように見えます。

自分は褒められて当然であると思い込んでおり、賛美が得られない時は驚くかもしれません。

自分の成功や権力、美しさ、理想的な愛などについての空想にふけっていることもあります。 

一方で、他人の努力や貢献は過小評価します。相手の気持ちに共感できないため、しばしば人間関係上の困難を抱えます。 

この障害のある人は心が傷つきやすく、抑うつ傾向があります。

 

自己愛って何?

自己愛とは自分を大切にできる能力のことをいいます。

自己愛は少なからず誰にでもあり、年齢を重ねるごとに成熟していくといわれています。

この「自己愛の成熟」とは精神医学では自分を肯定して愛することができる状態といわれていて、さらに、成熟すると自分以外の他者にも愛情を注げるようになるといわれています。

 

自己愛性パーソナリティ障害は自己愛が未成熟な状態

自己愛性パーソナリティ障害の人は、自己愛が未成熟な状態にあると言えます。

自己愛が未成熟な状態とは、ありのままの自分を受け入れ愛することができていない状態をいいます。

その未成熟さの現れが「自己の誇大化」、「他者からの評価に対する過敏さ」、「共感性の薄さ」になります。

例えば自分自身が掲げる理想の姿が高く、自分は重要な存在で、特別扱いされるべきであるという都合のいい思い込みをしています。現実的に特別扱いされなかったりすると周囲を責めたり、バカにしたりします。

周囲から「すごい」「あなたにしかできない」など、賞賛を常に求めています。

期待通りの賞賛が得られないと不平不満を抱えてまわりのせいにし、万が一批判をされたらそれを受け入れることができません。

さらには、そのことに囚われて、引きこもりやうつ病になってしまうこともあります。

そして、共感性の薄さによって、相手の立場に立って物事を考えることができず、TPOを考えた発言ができなかったり目的達成のために親しい友人を利用したりするような対人関係がみられます。

 

つまり、自分の利益のために人を利用してしまうのです。

 

以上の傾向が持続的で、社会生活が困難になるほどの苦痛を引き起こしている場合に自己愛の歪みや未成熟さがあり、

自己愛性パーソナリティ障害と判断されます。

 

フロイトとコフート

フロイトは「自己愛性パーソナリティ障害」は精神分析で治せないと考えていたのですが、コフートは患者に「共感」して、

その治療を試みました。次に紹介してみたいと思います。

 

■ハインツ・コフート(Heinz Kohut, 1913年5月3日 – 1981年10月8日)はオーストリア出身の精神科医、精神分析学者。
精神分析的自己心理学の提唱者で、今日の自己愛研究や間主観的アプローチの端緒を開いた。
自己愛性パーソナリティ障害の研究に先鞭をつけたことでも知られる。