とぅるー はぴねす  (38ページ) | 緋鷹由理 

緋鷹由理 

たぬこと熊太の徒然日記を主に掲載しています。

闇の中  3

 

授業中、ちょっと寝ちまったとこがあるから、そこの部分だけ空白だけど、それは勘弁してくれ

あー

僕は嫌な予感がして、今しがた受け取ったノートを開いてみた。

彼のノートは驚きの白さだった。

空白が多いと言うか、僕を一番驚かせたのは、今学期に入ってからの授業内容がたったのノート一ページ分しか書かれていないというのに驚いた。

授業によっては一時間の内容だけで二、三ページは使うはずなんだけど。

僕は静かにノートを閉じて思った。

彰には悪いけど、休んでいた分のノートは別のクラスメイトから借りよう。

ありがとう、彰。君の気持ちは受け取っておくよ

へへっ。礼なんかいらねぇよ。友だちだろ

……うん

彼のような友人がいてくれる。僕を気遣ってくれる友人が。僕は恵まれている。

ん? なんだ?

今日の放課後さ、ちょっと付き合ってよ

おう、いいぜ!

彼はにかっと笑いながら快く返事をしてくれた。

でも彼女さんの方はいいのか?

……たまには友人と過ごす時間も必要かなって思ってさ

おっ。うれしいことを言ってくれるじゃねぇか

彰はうれしそうにばしばしと僕の肩を叩く。

彼流のスキンシップなのだが、正直かなり痛かった。

よしっ。じゃあ、今日の放課後はふたりで筋トレしようぜ

いや、しないけど

マジかよ!

なぜ筋トレすること前提で話を進めるのか。

基本的にいい奴なんだが、すぐに人を筋トレに誘うのが玉に瑕(たまにきず)だ。

それでも、一緒にいてくれる友だちがいるのは、とてもありがたいことだ。

今の僕にとっては、彰の存在はとても大きかった。

 

〔つづく〕 

                                                             

登場人物

水無瀬弘海   主人公(みなせひろみ) 

高群  七星   主人公と同じ部活の後輩

鈴木  彰    ひたすら筋トレを誇張する、主人公の友人


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草薙香(くさなぎかおり)  の小説


編集掲載・緋鷹由理