嘘つきの罪悪 6
放課後になると、あんなに晴れていた空はいつの間にか分厚い雲に覆われていた。
いつ雨が降り出してもおかしくない空模様だった。
「傘、持ってきてないんだけどなぁ」
小さくぼやきながら校舎の中を歩いていく。
今日は部室に行く気分ではなかった。
今日は早めに帰宅しようと昇降口に向かう途中、一年の教室の前を通りかかったときだった。
たまたまひとつの教室から小さく声が聞こえた。
それ自体は別に珍しいこともない。
全校生徒の九割がなにかしらの部活動に所属している学校だとは言え、放課後の教室で話をしている生徒だっていないわけではない。
だから、僕は普通にその場を通り過ぎるつもりだった。
教室に男子とふたりきりで話す、七星の姿を見るまでは。
胸騒ぎがした。
僕の足はぴたりと静止した。
視線は七星から離すことができなかった。
七星は無表情で男子生徒の方を向いていて、僕の存在にはまだ気づいていないようだった。
〔つづく〕
登場人物
水無瀬弘海 主人公(みなせひろみ)
高群 七星 主人公と同じ部活の後輩
鈴木 彰 ひたすら筋トレを誇張する、主人公の友人
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編集掲載・緋鷹由理