偽りの恋人 8
そんな風に思うのは僕の都合のいい妄想だろうか。
「先輩」
「うん?」
「もしよければ明日もお弁当を作ってきてもいいですか?」
「え? あ、うん。……いいの? お弁当ふたつ作るんでしょ? 大変じゃない?」
彼女の弁当はおいしいし、作ってくれるならもちろん大歓迎だ。
でもそれが彼女の負担になるようなら、僕は彼女に無理はして欲しくないと思う。
「お弁当をひとつ作るのもふたつ作るのも、労力はそう変わりませんよ」
「そうなの?」
「はい。それに毎日お弁当を作ってきた方が恋人っぽいので」
「なるほどね」
高群さんはずいぶんとこの恋人ごっこに力を入れるつもりらしい。
まぁ、彼女の方から提案したものだし、僕と付き合っているという噂が流れることで高群さんに告白する男子が減ることができれば僕も手伝った甲斐があるというもの。ここは大人しく彼女の言うとおりにしてみようと思う。
それに毎日彼女の弁当が食べられるなら、僕としてはありがたいことこの上ないわけだし。
なんて、僕は簡単に事態を考えていた。
〔つづく〕
登場人物
水無瀬弘海 主人公(みなせひろみ)
高群 七星 主人公と同じ部活の後輩
鈴木 彰 ひたすら筋トレを誇張する、主人公の友人
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編集掲載・緋鷹由理