それからひと月ほどして、所長室に呼ばれた。
僕は主任と一緒に所長室に入った。
「失礼します」
というと、室長が先に座っていて
「まあ、かけてください」
と言われたので、所長室のソファーに座った。
「山中君、君の提出した資料は、君が一人で調べたのかい」
「いえ、弟や先輩にも手伝ってもらいました。」
「そうか、実は、君と同じ考えの人が関東にもいて、その人は
千葉ニアン(ポールシフトの痕跡のある地層)の近くに住んでいたから、もしかしたらと思ったらしくてね。
仮説は立てたのだけど、山中君ほど具体的な検証はないようだった。
ただ、君のレポートにもあったジャイロスコープの記録を残していたんだ。
それによると、君が提出してくれたレポートとほぼ一致しているみたいだ。」
「じゃ、緯度や経度を記録していたという事ですか?」
「そうだね、細かい記録が録ってあった」
「なぜその情報が今まで伝わっていないのですか?」
「その人は、気象研究室や地質部の研究をする人でもない、一般の人なんだよ」
「えっ」
すると所長が
「その人は50代の人なんだけど、千葉ニアンに興味を持って、独自に緯度経度の測定器を作り、記録していたらしい。」
「すごいですね。」
「うん、そうなんだけど、君のレポートが関東の放送局で発信されたらしく、それを聞いて、同じ意見を持っていると言って、名乗り出てくれたらしい」
僕はとても興味を持った。
〔つづく〕
登場人物
山中 尊 (たける)主人公。月光からはケルと呼ばれている
山中 命 (みこと) 尊と双子の弟、
山中 日光 (ひかり) 尊や命の従妹。月光の双子の姉
山中 月光 (あかり) 尊を追いかける妹のような存在。
主任 三間坂 徹 (みまさかとおる)
室長 秋月

