第1話:やさしさのおすそわけ

ゆいは、小学1年生の女の子。
ちょっと泣き虫だけど、とってもやさしい子だ。

ある日、学校の帰り道。
冷たい風の中、いつものようにおばあちゃんの家に寄り道した。
「ゆいちゃん、いつもありがとうね」
そう言ってくれるおばあちゃんの笑顔が、ゆいはだいすきだった。

でもその日は、おばあちゃんの顔が少ししんどそうだった。
「どうしたの?」と聞くと、おばあちゃんは笑ってごまかした。
「ちょっとね、足が痛くてね…お買い物、行けなかったのよ」

ゆいは少し考えて、パッと顔をあげた。
「じゃあ、ゆいが代わりに行ってくる! おつかいできるもん!」

おばあちゃんはびっくりしたけど、やさしくメモを渡してくれた。
「じゃあね、この3つだけお願いできるかな?」

――牛乳、りんご、パン。

ゆいはメモをにぎって、近くの商店街へ走った。
財布には、自分のおこづかいが少しだけ。
でも、どうしても手伝いたかった。

お店で値段を見ながら、何度も指を折って数えた。
「うーん、全部はむずかしいかも…でも、りんごは絶対ほしいって言ってた!」

ゆいは、りんごとパンを選んでレジに並んだ。
すると、後ろに並んでいたおじいさんが、そっと声をかけてきた。

「がんばってるね。おばあちゃんのため?」

ゆいがコクリとうなずくと、おじいさんはにっこり笑って、足りない分の牛乳を一緒に買ってくれた。
「やさしさには、やさしさを返したくなるんだよ」

おばあちゃんの家に戻って、「おつかい成功!」とリビングに並べたとき、
おばあちゃんは目に涙を浮かべた。

「ゆいちゃんは、本当にやさしい子ね。ありがとう…」

その夜、ゆいのママは帰ってきて、話を聞いた。
「ゆい、がんばったね。やさしさって、こうしてまわっていくんだよ」

ゆいはうれしそうに笑った。
「じゃあ、明日はおかあさんにも“やさしさ”わけてあげようかな!」

ちいさな手に、やさしさをいっぱいつめこんで。
ゆいの物語は、これからも続いていく。