慎重にゆっくりと奥に入っていくと、オフィスのような広い空間に出た。
規則的に並ぶそれぞれのディスプレイの前にヒューマノイドや人間が座っている。
その中に俺は、ある一人の女性を見つけた。
その女性も俺を見ていた。
お互いに言葉が出ない。
俺はその女性に駆け寄ろうと思ったが、何故か足が動かない。
女性の眉は弱々しそうに斜めに曲がり、またその瞳は一点に俺を見つめていた。
口元は笑おうとしているのだろうが、震えていた。
俺は一体どんな顔をしているのだろう。
女性は席を立ち、こちらに近づいてくる。
彼女の手が俺のほほに触れる。
その手には懐かしく刻まれた皴が見えた。
そのまま女性は俺の首に手を回し、肩に顔を乗せる。
俺も彼女の背に手をあて、お互いに抱擁した。
女性は涙を流していた。
「光輝…。」
「久しぶり…母さん。」
奴の姿が通路の奥へと消えていく。
しばらく俺はそれを眺めていた。
「どうして進まない?」
ナナが顔を覗き込む。
その問い掛けには答えず、俺はただその場に立っていた。
大きく息を吸い込み、深呼吸をして呼吸を調える。
「ごめん、ナナ。行こう。」
ナナは素直に頷く。
俺は一歩一歩を確かめるように、ゆっくりと通路を進んで行った…。
しばらく俺はそれを眺めていた。
「どうして進まない?」
ナナが顔を覗き込む。
その問い掛けには答えず、俺はただその場に立っていた。
大きく息を吸い込み、深呼吸をして呼吸を調える。
「ごめん、ナナ。行こう。」
ナナは素直に頷く。
俺は一歩一歩を確かめるように、ゆっくりと通路を進んで行った…。
だけど、それを認めたくなかった。
認めれば、俺を苦しめた奴を許してしまうような気がして。
奴は突然足を止めた。
「ここだ。」
目の前には何重層にも重なったドア(いや、壁と言った方が適切だろうか)があった。
表面で電流のようなものが音をたてている。
おそらく特殊な防壁でも掛けてあるのだろう。
奴は壁の傍にある小型のディスプレイに触れた。
「指紋、確認。渡瀬光治社長。」
ドアから女性タイプの機械音声が流れる。
「ロック解除します。」
その瞬間、目の前の壁の層が消えていき、突然通路が現れた。
「ここに母さんもいる。入ってくれ。」
俺は思わず息を飲む。
奴はそのまま通路の先の部屋へと入って行った。
認めれば、俺を苦しめた奴を許してしまうような気がして。
奴は突然足を止めた。
「ここだ。」
目の前には何重層にも重なったドア(いや、壁と言った方が適切だろうか)があった。
表面で電流のようなものが音をたてている。
おそらく特殊な防壁でも掛けてあるのだろう。
奴は壁の傍にある小型のディスプレイに触れた。
「指紋、確認。渡瀬光治社長。」
ドアから女性タイプの機械音声が流れる。
「ロック解除します。」
その瞬間、目の前の壁の層が消えていき、突然通路が現れた。
「ここに母さんもいる。入ってくれ。」
俺は思わず息を飲む。
奴はそのまま通路の先の部屋へと入って行った。
