「武装解除」の記述の一部

あなたはシエラレオネ人の一青年であると仮定する。

あなたは奨学金を得てアメリカに留学していたが、この間内戦が激化して、家族と音信不通に。
停戦合意後、やっとの思いで故郷の地を踏んだあなたは、祖父母、父母、兄弟全員が死亡したと知らされる。
 
その後和平合意が締結され、反政府ゲリラも恩赦され、村々にも帰還した元ゲリラたちの姿を見るようになってきた。あなたも、国家再建の意志に燃え、故郷で高校教師の職に就き、復興の始まった地元に定着しつつあった。

そんなある日、首都フリータウンの難民キャンプの一つにあなたの妹が収容されているという情報を得て、駆けつけたキャンプで再開を果たす。

しかし、幼い妹の両腕は、上腕から切断されていた。

そして彼女から、他の家族の死因は反政府ゲリラによる虐殺であると聞かされる。妹によると、彼女の腕を切断し家族の虐殺に加わったゲリラたちをしっかり覚えていて、最近彼らの消息を聞いたという。

そうしているうちに、あなたの高校教師としての日々も平穏に過ぎてゆく。妹もハンディキャップを克服しながら、、あなたが教鞭をとる高校へ入学できるまでになった。その間、元ゲリラたちの村への帰還も進み、あなたの学校にも、ゲリラ活動中に教育の機会を奪われていた少年兵たちが入学してきた。

ある日突然、妹の様子に変化が起こる。虐殺のトラウマがよみがえり、ひどくおびえた様子で、登校が全くできないほど悪化してしまう。虐殺のあの日、彼女の両腕を切断したのは少年兵で、その本人があなたのクラスに生徒として復学したのである。

さてあなたは、教育者として、どうやって復讐の気持ちを整理するのか?そして兄として妹のトラウマを少しでも和らげるために、どういう行動を起こすか?

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シエラレオネでは、日常的にこのような事が起こっているといえる。
そして法的な強制力のないボランタリーな”犯罪の告白”が行われ、民衆レベルの自然な和解を促す機能を果たすそうだ。

小国の中で前科を隠しつつ生きる事はできない。
また、重犯罪人と隣り合わせの日常が送られる中で、市民は復讐せず、黙々と和解するのだという。

それは、和解を善行として受け入れるのではない。
「復讐の連鎖」を心配するのでもない。

そこにあるのはただ”絶望”なのである。




ルワンダのジェノサイドを実写化した映画を立て続けに2本みた。
映画なので感情に訴えかける。
感情移入中。どっぷり浸り、ダウン中。



ひとつは「ホテル・ルワンダ」
フツ族の4つ星ホテルの支配人が主人公で、ルワンダ人当事者の視点で語られるスト=リー


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映画の主人公となった、ポール ルセサバギナの著書

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もうひとつは「ルワンダの涙」(洋題「Shooting Dogs」)

公立学校に赴任した新米アメリカ人青年を主人公に、これも実話をもとに作られている。
この学校での虐殺を逃れた難民、命は助かったが犠牲になった人々が制作スタッフとしてコミットしている。

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2つの映画で国連軍の葛藤についても描かれていた。


国連の監視下で起こったジェノサイド。
「ルワンダの涙」では、しきりに国連の軍事監視団の大尉が
「平和維持の施行ではなく、監視(モニター)のための駐留だ!」のようなことを言って
神父と衝突しているシーンが盛んにあった。


武装はしているが、あくまでも自衛のためで
マシンガンを使うにも上官の指示を取り付けてからでないと使えないと言い放つ。

BBCのリポーターが大尉に噛み付いた時も、カメラを止めさせ
決定を下すのは自分でなく安保理だ!と自分たちが何も出来ない苛立を表していた。


世界には、巨大な軍事力を持つ国もあるのに、
ナタで行われるジェノサイドさえ止める手立てがなかったのかと

多くの人々を輸送する手立てもしかり


国連はこのジェノサイドが起こる以前から情報を発信していたという。
しかし、結果何もできなかったことが記されている。


日本は主に、国取り合戦の時代以降は国内で殺し合いをしていないし
(明治維新やクーデターはあるが。。。)
当時、戦いに参加した中心は兵士であり
民間人が大量に虐殺される内紛は経験していない
平時の状態が日常である私にはジェノサイドがどんなものか
映像や書物でしか感じ取ることが出来ない。


この現実をヴァーチャルで受け止めることでさえ困難なのに
今、この瞬間も彼らは生きている。
前述のシエラレオネのストーリーと同じような日常なのである。


平和維持を実効性のあるものにしなければならないし
しかし権力を持たせすぎてもいけないのかもしれない。
知識が浅すぎて何も語れないけど、これらを学ぶための今だと思ってる。
世界で日本の自衛隊がどのように貢献できるかとか
と同時に憲法9条とか


しかし、あのような状況になったときには
現地でシビリアンコントロールなんて機能するのだろうか?

だからこそ、そうなる前に「紛争予防」は不可欠なのだと
そう思うしか出口がない。

人は苦痛から逃れようと神に祈る。
最後はそれしか出来ないと思った。

今も「何かしらの正義」のために人が命を奪われている。

でも、最後が訪れる前に食い止める力があると信じる。