この愛に生きての1話の感想を書きます。

完全ネタバレ。

 

この愛に生きて

岸谷五朗 安田成美 豊川悦司 美保純 深津絵里

 

まずざっとストーリーを。

 

安田成美 豊川悦司が、息子の卒園式に出ているところから始まります。

ビデオを片手に張り切るパパ。涙ぐむママ。幸せそうな親子の姿。

差し込まれる夫婦のなれそめ。既婚者だった彼の子供を妊娠し、略奪婚だった

事が分かる。喫茶店で、子供が出来たから別れてくれと言われて なぜか余裕の

笑顔で了承する前妻美保純の姿。

卒園式からの帰り道で警察の捕り物とすれ違う、知らずに岸谷五朗とすれ違う。

ドラマタイトル、オープニング。

小学校の初登校日、玄関先で見送る両親。

息子がいなくなると、急に笑顔が消えてさっさと家の中に戻る夫。

この夫婦は、冷めているんだと伝わる雄弁な演出。

1人もくもくと朝食をとる夫と、植木に水をやる妻。会話なし。

夫「風邪薬が欲しい」と言われて嬉しそうにいそいそと薬を取り出す妻。

具合悪いの?と心配そう。「こういう強い薬を飲むときはお水をいっぱいのまないとだめ」

夫の出勤、駅まで車で送っていく車内で

「俺は理解ある夫、家に縛り付けるつもりはない。カルチャースクールとか

通えば?」妻の話に適当に相槌を打つ。興味が無いのがまるわかり。

「もっと駅から遠かったらよかったな、車の中くらいしか二人で話せない」という妻。

一度改札を入った夫、少ししてまた改札を出てきてタクシーを拾いどこかへ。

それを見ていた妻が後をつけると。そこは、前妻美保純のアパート。

「つづいてたんだ」車に戻りショックを隠せない。

アパートでは 美保純が風邪で寝込んでいる。甲斐甲斐しく世話を焼く豊川。

「私の思った通り。夫婦なんかでいるより、はるかに優しい」と笑う美保。

妻に言われた通りお水をたくさん飲むようにと優しく微笑む豊川。

公園で、友人りかこに相談する。もう3か月もレスな夫婦。「乾いているのが心なのか 

分からないなんて、哀れだよ」と言われて一言もない。

 

仕事帰りも美保の部屋により、関係を持つ豊川。

明日が締め切りだから美保が書き始める原稿は 子供が鎹にならな夫婦についてと言われ、

俺への当てつけかと苦笑する豊川。夫の意見を言わせてもらうと 新妻に絆されて

ダブルベッドを買ってしまって後悔しているよという豊川。

共犯関係の甘やかで大人な会話。

 

帰宅後風呂に入っていると

安田が下着姿で風呂場に来る。二人目を流産して、もう妊娠できなくなったから抱いてくれないの?

昔と今とで何が違うの?時々息子の寝顔を見ながらこの子が居なくなったら、私には何が残るんだろうって考えて涙が出てくるの。

暇だからそんな事考えるんだよ、ほら 生け花教室とかさ。と話をそらそうとする豊川。

女がいるでしょう。詰め寄る安田に この若さで重要なポストについて、どれだけのプレッシャーが

かかっているのかも知らないで そんな恰好で誘うなんて、恥知らずが と怒って

風呂場を出ていく豊川。うつむく安田。

美保に対する時と違い、どこか下に安田を見ている感じ。対等とは思っていない空気。

 

ところどころ入る岸谷のナレーション。

「あの頃のお前は・・・だったな」といった感じ。

二人は出会っていないが、出会いを予感させる。

 

そんな岸谷は人生最大のピンチにあって、情報を探らせるために潜らせていた犬

情報網が殺されてしまっていた。デカ仲間からもお前が殺したと言われ一言もない岸谷。

 

行方をくらました岸谷を心配するセンパイデカ嶋田久作。街でティッシュを配る

けばい女 深津絵里は岸谷にぞっこんで、嶋田は深津に惚れている。

 

夜の街を歩く岸谷、すれ違った風俗店の男に 女を紹介してほしいと。

その買った女の特徴 そのままの服装で歩く安田。

これから女を買ってくるという岸谷に 昔防犯課のデカで女を買った奴に

刑事をやめろって言ったのに?と言う深津に だからだよ、と答える岸谷。

 

安田がバーでフローズンダイキリを飲んでいる。マスターとも顔見知り。

差し込まれる映像から、豊川とここで何度も待ち合わせをした想い出のバーだと分かる。

入り口を気にして 思い出の中の豊川の姿を追う安田。

と、そこへ 豊川の幻影を追い払うように入ってくる岸谷。驚く安田になれなれしく

声をかける。てっきり自分が買った女と勘違いをしてしまう岸谷。

せっかちに、二人分の支払いをして店を出る。お金を返そうと追いかける安田。

ホテルに入ってく岸谷に追いつくころにはすっかり泥酔。ふらふらで立っていられない。

そこでホテルの部屋に入る事に。

シャワーを浴びてくるという岸谷。話がすれ違う。あぁ、金が欲しいんだろうと 乱暴に

札を渡す岸谷に 怒って部屋を出ようとする安田。

 

そこで、あれ?人違いか?とやっと気が付く岸谷。

警察を呼ぶわよ もう呼んでる 手帳出す このくだりが面白い。


水を飲んで少し落ちつく安田。

防犯課の刑事さんがこんなことして、ダメでしょう。反省してください。

しおらしく「はい」と言う岸谷に心を開いていく安田。

なぜ刑事に?刑事になりたかったの?と

質問攻め。

結構話すの好きなんだねと言う岸谷に、実のある会話はなかなかできないから、と言う

安田に俺も仕事柄 と仕事の話に。そこから、人を人と思えなくなっていた、その結果

人を見殺しにしてしまった。だから今日刑事をやめようと思って女を買いに来たんだけど

上手くいかないな、と。

 

一度は帰る安田だが、戻ってくる。「金で買う遊びのはずだった」 

「いいですよ、なら。お金の遊びなら」と部屋に入り、ベッドに散らばったお札を

つかみ泣く安田。幸せじゃないのか、と抱き寄せる岸谷。泣くなよ、遊ぶんだろう。

 

二人は一夜を共にする。

朝、去り際に 私はお金で買われたわけじゃない だから刑事を辞めないで

と言って帰っていく安田。

 

 

これは、素晴らしい脚本じゃない?

まず演出が素晴らしくて、セリフにならないしぐさ 空気感が本当に見事。

夫の愛情が完全に冷めているという演出が、こんなにお手軽にできるものかね。

またセリフも良くてね。リアルタイム時は確か高校生だったので、もうただただ

岸谷五朗のひたむきさ、純愛ぶりに惚れちゃいましたね。

今見ると、哀しい大人たちがリアルに感じられます。安田も豊川も、美保も

すっかり薄汚れた 何かを無くした大人たちです。

そんな中にあって、キラキラしているのが 岸谷の安田への気持ちでした。

誤解が解けた後の会話で 私どう見えた?と聞く安田に きれいだ、そういう商売だと

思っていなかったら声なんかかけられなかった、早く抱きたかった。

そういわれた瞬間の安田の表情が、いいんですよ。

夫からもう愛されていない 求められていない、この結婚は間違いだったのではないかと

不安で でも子供が居るからという思いと、この子がいなくなったら私には何が残るんだろう

という絶望と。そんな安田のからからに乾いた心と体に この言葉が染み込んだのでしょうね。

だからこそ、戻ってきたのでしょうね。それほどに、この時彼女は乾いていたんだと思います。

それを表すように、その言葉を聞いた後安田はペットボトルの水をぐっと飲むのです。

 

 

1話のしょっぱなから 息子さんが殺されるという事が暗示されていて

死なない事には進まない話だったんだよな、しょうがないんだよな、と自分を慰める。

もうこの子役がかわいくって~~、ぷにぷにほっぺで愛嬌のある笑顔でさ。

このキャスティングずるいわーー、この子が死ぬから 哀しいんだよ。

 

このドラマ何故かDVDになっていません。してほしいのにな~。

役名ではなく役者の名前で書いているのでなんか変な感じですよねw調べるの面倒で。

 

ではでは~。