小学校の頃、目にするものは姉の百科事典と国語辞書であった。
漫画は一度だけ買い与えられたが、結局、生涯、漫画はその一冊だけであった。
漫画を買ってもらえない反発からなのか、漫画は男として恥ずかしいものだと考えるようになった。
社会人になると、給与日に二冊づつ人生論についての本を買い読み続けた。
ある日、職場の先輩女性に、二十歳前の若者がそんなかたい本を読むのは良くないと指摘された。
私が人間完成を追求しても、周囲の人は死ぬまで私のレベルに到達することがないので、私自身が苦しくなるし、
周囲がやっていることの総てを許せなくなると。
ある日、入社訓練中に指導員から、お前は十代なのに三十代のものの考え方をしていると言われた。
自分としては、誉め言葉として受取った。数日後、同期のとりまとめ役、級長を言い渡された。
その後、福山市主催の弁論大会出場を命令された。そして、予稿提出を求められたか。企業イメージを低下させる内容はないか、
指導員、係長、課長の検認が必要なのだが、予稿は頭の中にあり敢えて原稿には落としませんと言って了承を得た。
更に、新入社員研修指導員として推挙され、五年間を務めた。これも、若いころ、自分の生き方に向き合った所以だろうか。