China Yunnan Blog

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中国の雲南省に関することを少しだけ紹介します

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椎名誠 「中国の鳥人」



今回紹介するのは、この短編集の名にもなっている「中国の鳥人」という話である。 雲南の黒江哈尼族自治州のそのまた奥の奥に、とても貴重な煌玉という宝石の採掘現場が新しく見つかった。日本のサラリーマンがその買い付けに向かう…という50ページ程のストーリーだ。

中国の鳥人 (新潮文庫)/新潮社


これはいわゆる椎名誠の超常小説と呼ばれるものだそうだ。僕は椎名誠のそのジャンルの文章を読んだことがあまりないから何とも言えないのだけれど、彼が描くSF的なストーリーのことを指すらしい。この話はSFというよりは柔らかな非現実という感じ。(この本のそのほかの短編も、SFかといわれれば、どちらかというと“非日常”とか“まさか!”とかそういう言葉の方が似合う気がする。)


たぶん、雲南のことをあまり知らなかったら、どこがフィクションでどこがノンフィクションかわからない。たとえば地名も、途中までは本当のものだけれど、ある地点からはからはフィクションになる。徐々に、現実とうっすらとした非現実のようなものが混ざりあっていく。

僕はこの本を読むよりも先に、さらに非現実な色が濃い映画版を見てしまったので(いい映画だった!)そのイメージが強く残っているのだ。だから、小説を読んでいてもどうしても映画の追体験になってしまう。少なくともその追体験から読むと、非文明的で未開で神秘的で野蛮な中国西南部という像が、現実的な物の名前を超えて立ち昇ってくる。


僕にとって雲南は、そのかかわりの初めからあまり神秘的なイメージを持ってはいなかったのだけれど、いまから少し前の雲南は、こういう雰囲気を感じられる場所だったのだろうか。ちなみに、原版はわからないが、僕の読んだこの単行本は1993年発行、いまから20年前のものである。社会経済の発展、生活の向上を目指すことに反対ではもちろんないし、オリエンタリズム的な思考なのはわかってはいる。けれど、そんな雲南に行ってみたかった、と思ってしまうのである。