思いの坩堝 -24ページ目

思いの坩堝

モノカキになると誓った元単身赴任会社員の文章修行場です!

「例えば、君がさ」
「僕が、なんだい」
「千鳥足で帰る家路の途中で見上げた空に月が二つ出ていたとして」
「それはありえない」
「まあ例え話だから」
「僕、酒飲めないから」
「そっちかい」
「千鳥かわいそうに」
「ん?」
「だって、ただ精一杯生きてるだけなのに、酔っ払いに例えられちゃうなんて。同情に値する」
「はあ」
「それに、僕の今の住まいは駅に直結してるマンションだから、見上げたところで月なんて見えない」
「でた、想定全否定!」
「否定じゃないさ。違いを明確にしただけだよ」
「まあいいや。
そろそろ話を進めさせてもらってもよろしいだろうか」
「どうぞご随意に」
「月が二つというのは、吉凶どちらの暗示だろうか」
「ああ、そうそう。月が二つというところは尊重しているよ」
「そうだね、ありがとう」
「余計なことしやがって」
「どういうこと?」
「ゲッツー」
「なぞなぞか」
「月って陽の当たらない印象だよね」
「当たってるけどね」
「自発的に動ける人と指示待ちの人との注目度の差みたいなもんだよね」
「例えが微妙」
「うさぎの人口増加問題が解消されていいんじゃない」
「うさぎ?」
「そう。餅ついてるやつ」
「昭和か」
「待てよ、二つになったからって、空っぽの土地が増えたとは限らないか。ねえ、もう一個の月にもうさぎはいたりするのかね?」
「月にうさぎはいません」
「えええ!そうなの!!」
「リアクションを大きくするのはお笑いの鉄則だけど」
「月うさぎ…。全滅してしまっていたのか」