「暑い、暑いわ。ねえあなた、暑いのよ」
「はい?」
「暑いって言ってるのよ」
「はあ」
「はあじゃないでしょ!
私が暑いって言ってるんだから、何か考えなさいよ」
「へぇ」
「へぇって何よ、へぇって!
馬鹿にしてるの?そうなの?そうなのね」
「いや、別にそういうわけじゃ」
「じゃあなんだって言うのよ。あなたっていつもそう。絵に描いたような優柔不断よね、ってどんな絵よ!」
「抽象画」
「なんでそこだけ的確なのよ」
「テンション高過ぎて」
「テンションがなによ!アテンションプリーズってか!もうほとんど自分でもなに言ってるのかわからないわよ」
「なおさら僕は迷子だよ」
「いいわよわかったわよ。結婚前の甘い言葉は嘘だったってわけね、釣った魚をさばいて食すってわけね!」
「餌をやらないじゃ」
「ええ、もちろんそうよ、もちのろんよ、餅の論、論より証拠、食べてみなくちゃわからないのよ!」
「?」
「なにきょとんってしてんのよ!おとんが聞いて呆れるわ」
「??」
「この話の流れで食べるって言ったら餌に決まってるでしょ、餌に!釣った魚の食べる餌よ!意外とイケる!」
「あぁ、なにを」
「あぁもう暑すぎて暑すぎて気が変になりそう、ってもうなってるか、てへ」
「てへ」
「てへってなによ、てへって!」
というような会話を妻と交わしながら、今年の夏もエアコンのない部屋で暑さをしのぐ予定です。
(30代・無職・男性)