ジェノサイドの高野氏のデビュー作、11年前の江戸川乱歩賞受賞作である。
なるほど、ジェノサイドと似た骨格だ。
主人公は重大な問題を抱えていてそれを克服するために動き出す。しかしそのためには謎の解明の必要があり、しかも時間制限が設けられている。謎を解く鍵を握る敵キャラは見えないが強大だ。
そして、蘊蓄。
本作においては刑務官と死刑制度についてが大きなテーマとして、これでもかと深いところまで書き込まれている。
興味深く学んだ学生の頃を思い出した。
刑法の根本原理と役割、死刑存廃議論、旧派と新派の争い、応報刑と目的刑論、結果無価値と行為無価値の対立などなど。
岡本喜八氏の門下生でアメリカで映画を学び、帰国後脚本家として働いていたという経歴をみれば、本作のデビュー作らしからぬ完成度の高さも驚くことではないのかもしれない。
単発ではなく、ぜひシリーズものを書いてもらいたいものだ。