悪魔と死神 36 | 指先の記憶

指先の記憶

大好きなおふたりと周りの人たちのお名前をお借りして、私の頭の中のお話を綴っています。二次創作にご理解のある方だけ、お読みくださいm(_ _)m

突然、強烈な『死』の匂いを感じて修道女を見ると。



いつの間に立ち上がったのか、医療用具が入れてあるキャビネットの前にいて。



その手にははさみが握られていた。



「あ、」



反射的に止めなきゃと思ってしまったけど、死神であるおれが人の生き死にに関与できるはずもなく。



「突発的だな。」



やはり『死』の匂いをかぎ取ったのか、デスサイズを携えたヒチョルがとなりに現れてつぶやいた。



「それだけショックが大きかったんだな。」



「ユノ、おまえはもう自分の受け持ち区域に帰れ。」



「え?」



突然そんなことを言われてヒチョルのほうを向くと、



急に背中に熱を感じて、驚いて振り向いた。



「チャンミン、、、」



チャンミンはもう普段の姿じゃなくなっていて、ヒチョルが何を言いたかったのかすぐに理解できた。



いま、おれたちの目の前で『死』に向かおうとしている人間はチャンミンの契約者で。



悪魔の目的は契約者の魂を食らうこと。



そしておれたち死神の仕事はその魂を天界へと導くことで。



つまりおれたちはこの人間が息絶えた瞬間から魂を奪い合って闘わなきゃいけない。



あのときも本来ならそうしなきゃいけなかったんだ。



けど、おれはどうしてもチャンミンと闘うことができなかった。



だからヒチョルは、いますぐ受け持ち区域に帰れと言ったんだ。










最後までお読みいただき、ありがとうございました。