ヒチョルは修道院長を見張り、おれとチャンミンは修道女を見張っていた。
修道女はベッドに腰かけたまま、脱力した姿勢でどこを見るともなくぼんやりしていたけど。
突然ハッとして立ち上がり、走り出そうとして立ち止まる。
いまが真夜中だということを思い出したのか、息を整えてから音を立てないようにそっとドアを開けた。
「こんな時間にどこへ行くんだろうね。」
「さあ、外出、ではなさそうだけど。」
修道女は足音を忍ばせ周囲に目を配りながら修道院の中を歩いていき。
「地下室、かな。」
「たぶん。」
おれたちはただついていくしかなくて。
階段の上で修道女は寸の間立ち止まり、小首を傾げて戸惑っていたけど、それがなぜなのかわからない。
「ドアが開いてる?」
ああそうか。
こういうところは、子どもたちが勝手に入らないようにドアがあるものだ。
確かに頑丈なドアがあるのだけど、いまは開け放たれている。
地下室への階段は、足元の壁に小さな照明がついているだけでほの暗いのに、修道女は急ぎ足で降りていく。
いままで何度も上がったり下りたりしてきたから、体が感覚で覚えているんだろう。
階段の下にもドアはあるんだけど、そこも開けっ放しになっていて、、、
「え?」
先に部屋に入った修道女は、一歩入ったところで立ち止まり驚いた声を上げる。
おれとチャンミンも中の様子を見たとたん、思わず顔を見合わせた。
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