「なんか意味ありげな会話だったな。」
「あんた、誰でも怪しく見えるんじゃないの?」
「バカ野郎、おれの勘は外れたことがないんだ。」
そうだったっけ?
「ともかくおれはあの修道士をマークしてみる。おまえたちはここであの修道女と修道院長を見張ってろ。」
「わかった。」
「はいはい。」
ヒチョルはチャンミンをひと睨みしてから修道士の跡を追って飛んでいった。
おれたちは寸の間目を見交わして、チャンミンが修道女を見張り、おれは修道院長の部屋に戻る。
修道院長は誰かと電話で話している最中で。
「これは大司教様、この度はご心配をおかけしまして申し訳ございません。」
「はい?」
「ですが普段から人手不足ですのに、、」
「あ、ああ、そうしていただけるのでしたら」
「はい、そうさせていただきます。お心遣い感謝いたします。」
相手の声は聞こえないけど、修道院長の言葉からさっき修道士が言っていたことだとわかる。
ってことは、修道士が大司教とやらに連絡して、その大司教が電話してきたってことだな。
最近人間たちは携帯電話とかいうもので手軽に連絡を取り合っているから、どうやらあの修道士も持っているらしい。
この修道院では、誰かが使っているところを見たことがないけど。
修道院長が使っているのも、デスクの上にある固定電話だ。
携帯電話というものは固定電話より金がかかるらしいから、見るからに金がなさそうなこの修道院では使えないんだろう。
しかし上級教会はここよりは金持ちなのか、それともあの修道士が特別なのか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。