シルクとコットン 242 | 指先の記憶

指先の記憶

大好きなおふたりと周りの人たちのお名前をお借りして、私の頭の中のお話を綴っています。二次創作にご理解のある方だけ、お読みくださいm(_ _)m

「あらあら、そんなことわたしがしますよ。」 

 

 

洗濯物をカゴに入れて勝手口に向かうと、かあさんが慌てて駆け寄ってきた。 

 

 

「だいじょぶ、おれだってずっとひとり暮らししてきたんだから。それよりかあさん、敬語はやめてよ。」 

 

 

あって小さく声を上げて揃えた指で口を押さえる。 

 

 

笑った目元がチャンミンによく似ていて、やっぱり親子なんだなって思った。 

 

 

物干しには、もうかあさんが干したと思われる洗濯物が風に揺れている。 

 

 

いったい何時に起きてるんだろう。 

 

 

子どものころは当たり前だと思ってたけど、かあさんも母さんも朝早くから働いてくれてたんだな。 

 

 

ひとり暮らししてたからだいじょぶだとは言ったけど、乾燥まで自動だから洗濯物を外に干すなんてしたことなかったし、掃除だってスイッチひとつで勝手に掃除してくれるかわいいヤツがやってくれてたから、全然だいじょぶじゃないんだけど。 

 

 

それでもチャンミンが仕事してる間にできる限りの事をして、チャンミンの負担を軽くしてやりたい。 

 

 

「よし!」 気合いをひとつ入れて、おれにしたら最大限丁寧に洗濯物を干していった。 

 

 

「かあさん、おれこれからソウル行ってくる。」 

 

 

空になったカゴを抱えて勝手口から入った台所で掃除していた母さんにそう告げた。 

 

 

「じゃあ、お昼はいらないわね。夜は帰ってくるの?」 

 

 

「あー、帰ってくるつもりだけど、どっちにしろ連絡するよ。」 

 

 

かあさんが揃えた指の甲で口元を押さえて笑う。 

 

 

こんな仕草もチャンミンと同じ。 

 

 

「ユノもすっかり家庭人ね。昔は行ったきり音沙汰なしだったのに。」 

 

 

「変なこと思い出さないでよ。昔は携帯がなかったんだからしょうがないだろ?もう。」 

 

 

かあさんがプッと噴き出して、笑いだす。 

 

 

「そのふくれっ面、子どものころとおんなじねwww」 

 

 

かあさんと話しながら、母さんが生きてたらこんなだったのかなあと、胸の奥が温かくなった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。